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古楽アンサンブル「アウル」が奈良ホテルで50周年記念演奏会 自作楽器などで旋律奏でる

奈良ホテル・聖ラファエル教会で開かれたアウルの50周年記念演奏会

 ヨーロッパの古い時代の音楽を奏でる奈良市のグループ「アウル古楽アンサンブル」の創立50周年記念演奏会が、同市の奈良ホテル・聖ラファエル教会で開かれた。「こんな音楽集団が奈良に1つくらいあってもいい」と活動を続けてきた創設者の池口秀樹さん(80)。今後も自分たちのペースで楽しむという。
 大阪音大を卒業し、中学の音楽教諭となった池口さんが結成したリコーダーアンサンブルがその原点。メンバーらが仕事を終えた夜に集まるスタイルから、フクロウを意味する英語「アウル」がいつしかグループ名になったそうだ。
 「バロック以前の西洋音楽はおおらかで短い楽曲が多く、演奏が楽しい」。池口さんは魅力をこう語る。当時と同様の楽器を探したり、時には自作したり。古楽器のコレクションは100点以上にのぼる。
 現在は池口さんと、妻でピアニストの由紀子さん(78)のほか、声楽家や博物館学芸員といった面々6人がメンバー。リタイア組が増えたため夜に集まることはなくなったが、週1回昼間に池口さん方で練習し、定期演奏会を年1回開催。依頼を受けて各地へ演奏に出かけることもある。
 「実は、正確に50周年というわけではないんですが…」。昨年、自宅内を整理していた際、昭和45年に開いた演奏会のプログラムが見つかり、「今では結成の年月日は定かでないけれど、『50年やってきた』と言っていいよね」と、今回の定演を「50周年記念」と銘打った。
 2月25日に開かれた記念演奏会は、急遽座席を増設しても入れない人が出るほどの盛況ぶり。自作したチェンバロやゲムスホルン、トロンバマリーナなどを含む珍しい古楽器を多数駆使し、オペラの原型とも称される「オルフェオ」をはじめ、イタリアの中世・ルネサンス期などの楽曲を中心に披露した。
 「こんなに大勢の方が聴きに来てくれるとは」と池口さん。「もう無理のきかない年齢なので今後はぼちぼちと…」と言いつつ、新たな古楽器作りを始めている。

6年生チーム同士が熱戦繰り広げる「白橿旗橿原卒業記念野球大会」が開幕 橿原市

 県内の小学6年生球児のチームで争う「第34回白橿旗橿原卒業記念野球大会」(橿原卒部野球実行委主催)が3日開幕し、橿原市の鳥屋近隣公園グラウンドなど県内4会場で1、2回戦17試合が行われた。
 同大会は、6年生が学童野球を引退してから中学進学までに生じる約半年のブランクの間に「野球離れ」してしまうのを防ぐ狙いでスタート。主として地域ごとに6年生だけのチームを編成し、今大会には25チームがエントリーした。
 高校球児も地域の野球の盛り上げを支援しようと、県立橿原高校と大和高田市立高田商業高校の両野球部メンバーが審判団の一員として参加している。
 大会は10日に準々決勝、17日に準決勝と決勝、3位決定戦がそれぞれ広陵町の広陵運動公園健民グラウンドで行われる。

3日の結果

 【1回戦】STIH0ー0(抽選)葛城BBC・A▷高鳥ダダンダンズ1ー0生駒東少ライオンズ▷古都会SP4ー1御所イーグルス▷奈良信貴レッズ2ー0オール奈良▷王寺・河合スポーツ少年団レッド5ー0宇陀スラッガーズ▷高田BBC1ー1(抽選)河合・王寺スポーツ少年団ブラック▷いいね!真美ケ丘3ー3(抽選)オール磯城▷葛城BBC・B7ー6吉野オールスターズ▷広陵少年野球部5ー0(不戦勝)香芝ブラックサンダーズ
 【2回戦】STIH2ー0新時代橿原▷高鳥ダダンダンズ1ー0八木ヤンキースEAST▷郡山オールスターズ1ー0古都会SP▷八木ヤンキースWEST10ー0奈良信貴レッズ▷王寺・河合スポーツ少年団レッド4ー2BINS▷高市・橿原ダブルピース4ー0高田BBC▷いいね!真美ケ丘5ー0畝傍子供会▷葛城BBC・B7ー6広陵少年野球部

奈良市学童軟式野球連盟のシーズン開幕 選手たち元気に入場行進

選手宣誓する「かすみの」の佐々木花温主将
入場行進する選手たち

 奈良市学童軟式野球連盟の令和6年度シーズン開幕式が3日、同市のロートスタジアム奈良で行われた。参加したチームの選手たち500人が元気に入場行進し、健闘を誓った。
 同連盟の池田慎久会長が「大きな夢に向かってしっかり頑張ってください」と整列した選手たちを激励。「かすみの」の佐々木花温主将(10)と「帝塚山スポーツ少年団」の松本夏樹主将(11)が「監督やコーチ、先輩たちに教わったことを実践し、サポートしてくれる両親に感謝してチーム一丸となってプレーします」と宣誓した。
 シーズンは11月まで。3月10日にスタートするリーグ戦をはじめ、30日開幕の奈良LC杯、6月の産経新聞社杯や7月の市長杯など、各大会が予定されている。

返還されるリーグ戦優勝旗

高取・土佐街道沿い「町家の雛めぐり」今回で幕 実行メンバーの高齢化で

17段の雛飾りを前に「皆さんに喜んでもらえ、やり切ったという気持ち」と話す野村さん=高取町

 日本三大山城に数えられる高取城跡の城下町、奈良県高取町の土佐街道沿いで1日、春を彩る「町家の雛(ひな)めぐり」が始まった。沿道の町家に飾られた華やかな雛人形は、長年風物詩として親しまれてきたが、18回目の今年で幕を閉じる。主催する住民グループ「天の川実行委員会」メンバーの高齢化が理由。7人全員が70代以上となり、野村美千子副代表(74)は「踏ん張りがきかなくなったが、十分にやらせてもらった。続けてくれる人がいれば」と話す。31日まで。
 雛めぐりは平成19年、証券会社を定年退職した、美千子さんの夫の幸治さん(81)が中心となって、町おこしの一環で始めた。土佐街道沿いには江戸から明治時代の町家も多く、由緒ある雛人形も残っており、住民らに協力を呼び掛けて玄関や店先に飾ってもらった。メイン会場は米蔵を改装して「雛の里親館」とし、住民らから寄贈された500体を17段のひな壇に並べている。来場者は当初8千人ほどだったが、最盛期は5万人近くに増えたという。
 会場の設営や17段もある雛壇への飾りつけはメンバーが1カ月かけて行い、街道沿いの菜の花は美千子さんが秋から丹精して育てた。「当初はメンバーも会社を退職したばかりで元気だったが、体力的にも難しくなってきた」と美千子さん。1年前に今回を最後にすると決めた。雛人形は雛の里親館で保管される。
 同会は、手作りかかしを街道沿いに並べる「かかし祭り」も平成21年から続けてきたが昨年10月に終了した。今回の町家の雛めぐりでは「ありがとう!!…そして さようなら!」の看板とともに昨秋の「かかし祭り」で展示した将棋の藤井聡太八冠のかかしも並べて盛り上げている。
 大阪府高槻市の70代の女性は「たくさんの雛人形をどうやって集めたのかと思いながら見ていたが、最後とは。きれいな雛人形を見て気持ちも明るくなりました」と話していた。
 同町の古刹・壷阪寺でも1日、本尊十一面千手観音菩薩像の前などに計4千体のひな人形が並ぶ「大雛曼荼羅(だいひなまんだら)」が始まった。4月18日まで。町家の雛めぐりに合わせて毎年行っており、喜多昭真執事(54)は「町のみなさんと一緒にさせていただいただけに、今回が最後とは大変残念な気持ち。町家の雛めぐりがあったからこそ、お雛様の町として定着した。お雛様を大切にしてきた町の人たちの思いをつないでいきたい」と語った。
                      ◇
 町家の雛めぐりの問い合わせは観光案内所「夢創舘」(0744・52・1150)、大雛曼荼羅は同寺(0744・52・2016)。

初代法隆寺「若草伽藍」の南端か 瓦が大量廃棄された溝跡見つかる 斑鳩町

若草伽藍の南端だった可能性のある溝跡。瓦が大量に廃棄されていた=斑鳩町

 法隆寺境内(斑鳩町)の南側で、飛鳥時代に聖徳太子が創建した初代法隆寺だった「若草伽藍(がらん)」の南端の可能性が高い溝跡が同町教育委員会の発掘調査で見つかった。日本書紀で天智9(670)年に焼失したとされる初代法隆寺の実態を知る上で貴重な成果という。
 若草伽藍は現在の金堂や五重塔がある西院伽藍の南東に位置し、塔や金堂が南北に並ぶ四天王寺式伽藍配置だったとされる。今回は塔跡南東で建物建設に伴い、456平方㍍を調査。塔跡などと並行する位置に幅約2㍍の溝跡が約16㍍にわたり出土した。
 溝跡には7世紀の瓦が大量に廃棄されており、焼けた壁土片もあることから建物が火災で焼けた後にまとめて捨てられたとみられる。若草伽藍はこれまでに北側、西側で塀とみられる遺構が確認され、南北約170㍍、東西約150㍍と考えられていたが、今回の出土地は南北が約14㍍短くなる位置となっている。
 廃棄された瓦片は数万点以上に上るといい、金堂に使われていた可能性がある鴟尾(しび)の破片も含まれていた。さらに、瓦質の板状表面に軒平瓦に使う文様のスタンプを押した類例のない品もあった。
 法隆寺は聖徳太子が亡くなった父の31代用明天皇のために発願し、推古15(607)年頃に建立。天智9(670)年に焼失し、その後再建されたのが現在の西院伽藍とされる。
 調査担当の荒木浩司・生涯学習課長補佐は「遺構は若草伽藍の範囲を考える上で一つの重要な資料になる」と話している。
 現地説明会は3日午前10時~午後3時。

「大和な雛まつり」 大和郡山・旧市街地一帯で3日まで

町屋物語館の大階段に並ぶひな人形

 ひな祭りに合わせ、大和郡山市の旧市街地一帯で、店舗などにひな人形を飾る「大和な雛(ひな)まつり」が開かれている。3月3日まで。
 歴史的な街並みをいかして地域を盛り上げようと、市商工会と市観光協会が主催。近鉄郡山駅からJR郡山駅までの神社や店舗など107カ所にひな人形を飾っている。
 メイン会場の箱本館「紺屋」では、公民館のサークル活動などで地域住民らが制作した手作りのひな人形約100体を展示。また、旧遊郭の建物「町家物語館」では、大階段にさまざまな年代のひな人形約130体がずらり。
 訪れた同市の会社員、寺山智希さん(24)は「趣のある建物にいろいろなおひなさまが並び、見ごたえがありますね」と話していた。
 町家物語館ではおひなさまに変身できるなりきり体験も行っているほか、3月2日午後1時半と午後3時には、関西文化芸術高音楽専攻の生徒らによるコンサートも実施。入場無料。

河内國平さんの刀剣に魂込めた歩み 橿考研で特別陳列

鋳造(左)と鍛造で復元された2本の七支刀=橿原市の県立橿原考古学研究所付属博物館

 国宝・七支刀や藤ノ木古墳(斑鳩町)出土の飾り大刀など古代刀剣の復元で知られる刀匠・河内國平さん(82)=東吉野村=の作品を紹介する特別陳列が、橿原市畝傍町の県立橿原考古学研究所付属博物館で開かれている。復元七支刀や、1月に制作されたばかりの太刀など21点を展示。刀剣に魂を込めた60年間の歩みをたどることができる。3月17日まで。
 河内さんは江戸時代から続く刀匠の家系に生まれ、関西大在学中に同大学教授だった末永雅雄・橿考研所長と出会い、古代の刀剣にひかれた。卒業後、人間国宝の宮入昭平氏に弟子入りして技を磨き、平成26年に刀剣界最高の「正宗賞」を受賞した。
 古代の刀剣復元にも精力的に取り組み、百済の王から贈られたことを示す銘文が刻まれた七支刀に挑戦した。銘文に「百錬」の文字があることから、歴史研究者は通常の刀のように鉄を鍛えて作った「鍛造」とみていたが、刃が7本に分かれているため鍛造では制作が困難と判断。七支刀の実物も鍛造とは微妙な違いがあるとして、鋳型を使った「鋳造」の可能性が高いとし、鍛造と鋳造の七支刀を復元した。
 特別陳列では、両方の七支刀を比較できるよう並べて公開している。河内さんや弟子らの作品は、刀身に浮き上がる波のような刃文が見えやすいよう照明を工夫して展示。太刀の制作工程が分かるよう、鉄を熱するために風を送るふいごや鎚などを並べて仕事場も再現した。
 伊東菜々子学芸員は「刀剣ブームもあって、若い人が太刀を通じて古代にも興味をもってもらえれば」と話す。3月2日午前11時と午後3時に展示品解説。月曜休館。問い合わせは同館(0744・24・1185)。

「刀、ようやく分かってきた」 河内さんが講演

ユーモアを交えて講演する河内國平さん=橿原市の県立橿原考古学研究所


 河内國平さんの講演会が県立橿原考古学研究所で開かれ、刀匠としての心構えなどに触れながら、「刀についてようやく分かってきた。今が人生の中で一番幸せ」と語った。
 4歳で終戦を迎えた河内さんは、刀匠の父が軍刀に携わっていたことを振り返り、「昨日まで刀を作っていたのに、戦争が終わったとたんに刀はまかりならんと警察が調べに来た」と、一家が時代の波に翻弄された状況を話した。
 昭和41年に大学を卒業して刀鍛冶になりたいと両親に伝えた際、「母親は『刀だけはやめて』と涙を流して反対した。親父は『刀の時代は終わった』と言っていた。ただ、後を継いでくれることを喜んでくれたように思う」と回想した。
 河内さんは「出来る」の文字を幾つも連ねた自身の書を仕事場に掲げ、特別陳列でも展示している。河内さんは「弟子には『できない』とは絶対言わせない。『できるできるできる』と声に出して読ませる。できると思ってやり続ければいつか必ずできる」と強調。会場を訪れた刀剣ファンの若い世代に向けてメッセージを送った。

能登半島地震で被災した輪島塗職人を支援 奈良市で販売会

輪島塗の作品を手にする吉田さん(左)と杉村さん=奈良市のなら工芸館

 能登半島地震で被害を受けた石川県輪島市の伝統工芸「輪島塗」の職人を支援しようと、なら工芸館(奈良市阿字万字町)で輪島塗の販売会が開かれている。出品している作家は計7人。20日には、輪島市在住の輪島塗の上塗り師、吉田宏之さん(62)の妻、ひとみさん(62)が来場し、訪れた人たちから励ましの言葉を受けていた。
 ひとみさんは1月1日、自宅で宏之さんと過ごしていた際、震災に見舞われた。「天井も壁も崩れ、隣の家に寄り掛かるようになっていた。津波警報が出て、車で夫と逃げようとしたが、道路が損壊して徒歩で逃げた」と振り返る。
 現在は輪島消防署の近くに持つ別宅に身を寄せているが、宏之さんの工房を兼ねた自宅は解体することになり、観光名所「輪島朝市」に構えたギャラリーも大規模火災で全焼。仕事の再開は見通せないという。
 販売会は輪島で20年近く修業を積み、奈良市西ノ京町で「大和漆工芸杉村」を営む漆器作家、杉村聡さん(58)が、奈良市に協力をもちかけて実現。ひとみさんは杉村さんの義理の姉で、「作品を買ってもらうことが、次の作品を作る意欲につながる」と作品販売での支援を思い立った。
 宏之さんは木皿やビールのコップなどを出品。ひとみさんは「家も仕事場も失い、ゼロになってしまったが、多くの人の励ましが活力になっている。とてもありがたい」と話している。
 販売会は25日まで同館で、27日~3月3日は近鉄百貨店奈良店(奈良市西大寺東町)で開かれる。

日韓考古学の懸け橋に 橿考研が若手研究者の交換派遣を再開

古代の日韓関係などについて学ぶ韓国の若手研究者=橿原市の県立橿原考古学研究所

 橿原市の県立橿原考古学研究所(橿考研)で、韓国の若手研究者2人が、古代日本と朝鮮半島の関係などをテーマに研究に取り組んでいる。橿考研と韓国の大学や研究機関とは20年ほど前から研究員の交換派遣を行っていたが、新型コロナウイルス禍で中断し4年ぶりに研究交流が再開。幅広い視野をもつ人材育成と両国の懸け橋へ期待がかかる。
 来日しているのは、韓国国立文化財研究院の学芸研究士、イ・チョロンさん(38)と、ソウル大学校人文大学大学院国史学科の崔瑛恩さん(28)。イさんは交換派遣で1月中旬から3月末まで、崔さんは交換派遣とは別に1月末に来日して今月22日まで滞在し、それぞれ研究に取り組んでいる。
 2人はもともと古代の日本に関心があり、高校・大学生のころから韓国で日本語を学び、橿考研の研究員とは考古学の専門用語もまじえて会話をしている。
 イさんは、日本の須恵器と関係が深い朝鮮半島南部・伽耶地域の土器研究とともに、韓国国内の遺跡情報をデジタルデータ化するプロジェクトに取り組んでおり、日本の考古学分野のデジタル技術などを学ぶために来日した。「遺跡のデータを集積し、誰もが簡単にアクセスできるシステムの構築を進めている。日本の研究機関の取り組みを吸収したい」と意欲を見せる。
 一方の崔さんは、韓国南西部に集中する前方後円墳を研究。日本の前方後円墳と比較する上で、奈良県内の古墳を数多く発掘する橿考研に滞在している。
 2人は、箸墓古墳(奈良県桜井市)や応神天皇陵古墳(大阪府羽曳野市)などヤマト王権を代表する古墳に加え、和歌山県や兵庫県の古墳も精力的に歩いた。崔さんは「典型的な前方後円墳だけでなく、地方ならではの特色ある古墳を見て勉強になった」と話す。
 2人の滞在期間が重なったのは偶然で、イさんは「崔さんが来てくれてから遺跡に行くのも一緒なので、議論をしながら楽しく学べた」。崔さんも「地元の研究者ら多くの人と出会えて貴重な経験になった」と手応えを感じている。
 交換派遣は渡航制限などが解かれたことで再開し、橿考研からは1~5月まで代の若手研究者が韓国に派遣されている。橿考研の川上洋一副所長は「古代の中心だった奈良で発掘・研究をするには、朝鮮半島や大陸の遺跡を直接見ることが重要。韓国からも招くことで交流の輪が広がり、対面で学びあうことの意義を改めて感じた」と話した。

菅原氏発祥の神社で盆梅展 奈良市・菅原天満宮

さまざまな梅の花が咲く盆梅展=奈良市の菅原天満宮

 菅原氏発祥の地として知られる奈良市菅原東の菅原天満宮で盆梅展が開かれ、丹精して育てられたさまざまな梅が見頃を迎えている。3月3日までの予定。
 「学問の神様」として信仰される祭神の菅原道真が梅を愛したことにちなみ毎年開催。今年は例年より2週間ほど開花が早いといい、遅咲きも楽しめる。
 約150~200鉢を展示。紅白の花が咲き分かれる「思いのまま」や8種の花が咲く「菅原八宝梅」など、かぐわしい花々が訪れた人たちを魅了している。中村真一宮司は「目で見て和み、香りをかいで清めていただきたい」と話している。
 一般500円、中学生以下無料。問い合わせは菅原天満宮(0742・45・3576)。

「着物ドレス」魅力を日常へ、世界へ デザイナーの釜谷春菜さん 桜井市

昨年11月に奈良市で開かれた個展。打掛や留袖をリメイクした作品が並ぶ

 奈良県桜井市内の工房「工房 針。アトリエはりー」で、着物の伝統的な柄や鮮やかな色彩を生かしてドレスに仕立て直す「着物ドレス」を手がける釜谷春菜さん(37)。昨年はカナダで開かれた若手デザイナーの登竜門「バンクーバーファッションウイーク2024春夏」に出品し、多くの反響を得た。「着物の魅力をもっと発信したい」。そんな思いを胸に、7月にフランスで開催される「ジャパン・エキスポ」に向けて出展作品を制作中だ。(木村郁子)
 工房には、男性用の襦袢や訪問着や留袖、喪服、帯がずらりと並ぶ。型紙をおこした後に生地をあてて、着物ならではの柄が生きるように試行錯誤を繰り返す。できあがるのは、ギャザーやダーツを用いたふんわりとしたシルエットが特徴的な華やかなドレスの数々。「せっかく私の手元にやってきたのだから、着物を生き返らせてあげたい」と力を込める。
 兵庫県加古川市出身。大阪モード学園(大阪市)でファッションデザインを学んだあと、アパレルショップの販売員やハンバーガー店経営などさまざまな職種を体験した。
 転機は、平成年にリサイクルショップでシミのある着物を500円ほどで購入したことだ。シミ部分を避けてワンピースに仕立てて着用すると、友人たちから好評を得た。「シミが一滴ついているだけで安く売られる着物が不憫で仕方がなかった」と振り返る。
 着物は織りや染め、豪華な錦糸などが施され、職人の技術が凝縮されているが、現代では着る人が少ない。ドレスやシャツなどに仕立てれば、若い人でも着てくれる人もいるのではないか|。そう考え、「和装文化を継承する役に立ちたい」と着物ドレスデザイナーの道へ。令和2年に桜井市に転居し、中古品売買を取り扱う古物商許可も取得した上で、アトリエをオープンした。
 着物は糸をほどくと幅約36㌢の長方形の布になる。通常洋服に仕立てる布の幅は110㌢~140㌢で4倍もの差がある。「柄を生かして型紙を合わせて裁断するのには特に気を遣う」と話す。
 主にリサイクルショップで着物を入手しているが、近頃は家族の形見の着物などを持ち込む客も増えた。「思いが詰まった大切な着物や帯を信用して預けてくださる。失敗は許されない」。そう言って着物を扱う表情は真剣そのものだ。
 最近は活躍の場を広げ、昨年10月中旬にカナダで開催された「バンクーバーファッションウイーク2024春夏」では、豪華な打掛やあでやかな振袖を使ったドレスなど12作品を発表。「ゴージャスだ」「プリンセスのようだ」などと評価が高かったという。
 現在はオーダーを受けたドレスの制作に加えて、今夏にフランスで開催されるジャパン・エキスポに出展する作品に取り組む日々だ。
 「和装は世界に誇る日本の文化。私の作品を通して、家で眠っている着物に少しでも目を向け、袖を通すきっかけになってほしい」と釜谷さん。「華やかな着物は特別な日に向けたドレスに向いていますが、普段でも着られるようなカジュアルなワンピースなども発表していきたい」と創作意欲はつきない。

生地を裁断する釜谷さん

東大寺・お水取り 新入(しんにゅう)の森川さんが「試別火(ころべっか)」入り

新入として参籠する森川さん

 「お水取り」の名で知られ3月1日から本行が始まる東大寺二月堂(奈良市)の修二会で、空海寺(同)の徒弟、森川真雅さん(25)が新入として初めて籠る。15日には他の練行衆10人より5日早く東大寺戒壇院に設けられた別火坊で前行の「試別火」に入った。森川さんは「奈良時代から続く歴史あるお水取りに参籠でき、ありがたい」と話しており、3月15日の満行を目指す。
 森川さんは華厳宗大本山・東大寺の末寺で弘法大師空海ゆかりの空海寺の住職、森川隆行さんの長男に生まれ、中学生のときに得度した。ニュージーランドの高校に留学し、さまざまな国の人らと交流する生活を送った後、龍谷大学国際学部へ進学。その後は真言宗の道場、高野山専修学院で修行し、昨年4月から空海寺とともに二月堂で勤務している。
 高野山で修行していたころには「言葉で表せない神秘体験」と思えることがあった。まだ暗い早朝、ろうそくの明かりの中で大日如来像を拝んでいたときだった。ふと、仏と一体になれたように感じた。
 「『入我我入』といえるものなのかは分からないが、これが修行というもので、自分の歩むべき道だと思った」
 修二会に向けては、昨年12月から声明を狹川普文長老から教わりながら稽古してきた。新入は3月3日の夜の勤行で「称揚」という特殊な勤行形式の声明を導く時導師を務めるしきたりとなっており、「大役なので緊張する」ともらすが、声明や作法を伝承する立場になることに喜びを感じるという。
 今回の修二会は、ウクライナ侵攻などが続き、災害も相次ぐ中での勤行となる。「自分の周りの一人一人が安全に、幸せに暮らせることが世界平和にもつながると思うので、そうであるよう祈りたい」といった思いを胸に臨む。将来に向けては、「高野山には落語家のように話すのがうまい僧侶がいる。私もいろいろな話のネタを持つ味のある僧侶になりたい」と意欲的だ。

別火坊に入る森川さん(左)

大和に春呼ぶ「だだおし」 桜井・長谷寺で勇壮に

大たいまつとともに練り歩く赤鬼

 大和に春を呼ぶ勇壮な火祭り「だだおし」が14日、桜井市の長谷寺で営まれた。赤、青、緑の鬼が大たいまつとともに本堂の周りを歩き、大勢の参拝者が1年の無病息災を祈った。
 だだおしは、人々の罪を懺悔し心身を清める「修二会」の締めくくりとして千年以上続くとされる。「だだ」は、閻魔大王が生前の行為を審判して懲罰を加える杖を指すとの説や、「だだだ…」と鬼を追い出すところから呼ばれたともいわれる。
 この日は本堂で法要が営まれたあと、太鼓やほら貝が堂内に響き渡る中、3匹の鬼が「うおーっ」と叫びながら大暴れ。僧侶に追い出されると、大たいまつを持って本堂の周りを歩いて退散した。

耐震不足の橿原市役所、移転完了 機能分散で業務開始

新しい市長室で執務を始めた亀田忠彦市長

 築60年以上が経過し、震度6以上の揺れで倒壊の危険性が指摘される奈良県橿原市役所本庁舎について、今月中の解体開始を前に各部署の移転作業が完了し13日、新たな場所での業務が始まった。市長室も本庁舎本館に隣接する東棟に移転。市は新庁舎の基本計画を令和7年度内に策定する予定だが、完成時期は未定でその間は役所機能が分散し数㌔離れる部署も。亀田忠彦市長は「ひとまず耐震性のある建物で安心して職員が仕事をし、市民に来てもらえるようになった。不便のないように努めたい」と述べた。
 昭和36年に完成した現在の本庁舎は、平成7年の阪神大震災翌年の耐震診断で、国の耐震基準を下回ったため耐震強化が長年の懸案となっていた。
 31年、当時の森下豊市長が現地での庁舎建て替え方針を示したが、令和元年に就任した亀田市長が現地案を再検証したところ、軟弱地盤の強化などで総事業費の大幅な上昇が見込まれるとして3年に現地案を撤回。市役所の分庁舎が入る複合施設「ミグランス」に本庁舎機能を将来的に集約することを前提に、「かしはら万葉ホール」に移す方針を表明した。
 しかし同年12月、市議会は「住民の利便性向上につながらない」などとして移転に必要な条例改正案を否決。背景には、現在の本庁舎の住所「八木町1丁目1番地」から、別の住所地に変更することに抵抗感があったともいわれる。
 新庁舎の整備方針は決まっていないものの、各地で地震が頻発する中倒壊の危険のある本庁舎の解体は避けられない状況に。今年1月から各部署の他施設への移転が行われ、議会は本庁舎から約1㌔南のかしはら万葉ホールに移った。市長室は本庁舎に隣接する東棟に移ることで、市役所の住所が変わらないよう配慮した。
 市長室と議会が離れる上、観光政策課や庁舎整備室などは約3㌔北東の桜井市境にある「リサイクル館かしはら」に移転したことから、今後は各部署との打ち合わせや、議会への説明などで移動時間がかかることも考えられる。
 市民への影響について市は、各種証明書の発行、福祉や子育て関連の部署はすでに分庁舎に集約して支障は少ないとするが、施設が分散することで市民がどこに行けばいいか混乱するケースも予想される。
 亀田市長は新庁舎整備について、民間も入る複合施設を念頭に有識者を交えて検討するとし、「にぎわいを創出する施設にしたい」と話した。

元阪神・関本さんがやってくる 来月23日、橿原で産経野球教室

 プロ野球・元阪神タイガースの関本賢太郎さん=写真=が講師を務める「産経新聞野球教室」が、3月23日午後1時から橿原市の橿原運動公園・硬式野球場で開かれる。県内の小学生球児を対象に、今月26日まで参加者を募集している。
 野球教室は、産経新聞奈良県専売会と産経新聞開発が主催。講師の関本さんは同市出身で、地元の強豪・天理高校(天理市)から夏の甲子園に出場した経験を持つ。当日はウオーミングアップなどのあと、関本さんの指導で守備や打撃の練習をする。参加者からの質問に関本さんが応じる時間を設けるほか、記念写真の撮影なども。
 対象は県内の小学3~6年生(4月時点)で、参加費2千円。定員50人で応募者多数の場合は抽選。参加は保護者の同伴が必要となる。申し込みや問い合わせは事務局(06・6633・6834)へ。ファクス=06・6633・2709▽メール=event@esankei.comーでも申し込みを受け付けている。

県産イチゴ「古都華」たっぷり味わって

「ロビーラウンジ ファウンテン」で提供されている「古都華パフェ スーパーDX」

「ならあかり」もたっぷり

 奈良県産イチゴが旬を迎え、各地でイチゴフェアが開催されている。パフェやソフトクリームなど新鮮なイチゴをふんだんに使ったメニューが目白押しだ。
 ホテル日航奈良(奈良市三条本町)の3階「ロビーラウンジ ファウンテン」では、4月14日まで「奈良のいちごフェア」を開催。天理市の「中井農園」で収穫されたイチゴを使ったメニューを提供している。
 「古都華パフェ」(サービス料・税込み3千円)はイチゴの奈良県オリジナル品種「古都華」約10粒のほかミルクジェラートや古都華ジャムを使用。皿の上には、古都華ジャムを練り込んだシカ形クッキーやならあかりなどの県産イチゴが添えられている。
 ほかにも、皿の上のイチゴを増量した「古都華パフェ いちごDX」(サービス料・税込み4千円)や「古都華パフェ スーパーDX」(サービス料・税込み5千円)も人気だ。
 広報担当は「主役のイチゴを味わっていただけるシンプルな構成になっています」と笑顔を見せる。営業時間は午後1時~6時。毎週木曜は休み。予約は不可。問い合わせはロビーラウンジ ファウンテン(0742・35・6621)。

艶やかさ際立つパフェ

 道の駅「大和路へぐり くまがしステーション」(奈良県平群町平等寺)でも4月末まで、「古都華フェア」が開催されている。
 道の駅内のレストラン「hanana」で4月中旬まで提供される「古都華パフェ」(税込み2480円)は、古都華23粒前後を使用。アーモンドクランブルなどで味に変化をつけているほか、皿には古都華3粒が添えられている。
 「古都華の艶やかさがよく分かるように盛り付けにもこだわりました」と所長の中山悟さん(70)。完全予約制で2週間前から予約サイト(https://reserva.be/kumagashi)で受け付けているが、連日満席という人気ぶりだ。
 ほかにも、道の駅内の「できたてスイーツ工房」では、古都華ミニパフェ(税込み700円)や古都華ソフト(税込み600円)、古都華シェイク(税込み580円)など古都華を使ったさまざまなスイーツが楽しめる。予約不要。
 問い合わせは、道の駅大和路へぐり くまがしステーション(0745・45・8511)。

「hanana」で提供されている「古都華パフェ」

能登地震に「阪神」の記憶を重ね 11日にチャリティーイベント 橿原・称念寺の今井住職

「少しでも被災した人たちの力になれば」と話す今井慶子住職

 能登半島地震発生から1カ月を過ぎても、多くの避難住民は寒さに耐え、建物は倒壊したまま。この状況に、古い町並みで知られる橿原市今井町の称念寺住職、今井慶子さん(67)が心を痛めている。平成7年の阪神大震災で神戸市内の友人を亡くし、本堂も大きく損傷した。「1カ月という時期は、心身ともに最も疲れが出てしまうのでは。少しでも早く元の生活を取り戻してほしい」と、令和4年に再建された本堂で11日、演奏会などのチャリティーイベントを開く。(小畑三秋)
 平成7年1月17日。早朝に襲った揺れで、友人が住む神戸市内のマンションが倒壊し、友人とその家族6人が亡くなった。当時、大阪市内のテレビ番組制作会社に勤務していた今井さんは、神戸にも仕事でしばしば足を運び、数日前にも会ったばかりだったという。「悲しい思いをしながら、どうしていいのか、なすすべもなかった。今も後悔として残っています」
 称念寺がある橿原市内も震度4の揺れに見舞われた。江戸時代初めに再建され老朽化していた本堂は壁が大きく傾き、いつ倒れるか分からない状態に。電柱のような柱5本でかろうじて壁を支えた。本堂は14年に国重要文化財となり、解体修理が行われた。
 阪神大震災以来、今井さんには神戸市内で目の当たりにした倒壊家屋などの記憶が刻まれ、東日本大震災(23年)や熊本地震(28年)の際は被害を伝えるテレビ報道を見ることができなかったという。
 甚大な家屋倒壊と火災にも見舞われた能登半島地震は、阪神大震災を思い起こさせた。今回の地震発生から1週間後、知人から被災地支援の相談を受け、地元自治会とも話し合ってチャリティーイベントを計画。境内には日本赤十字社の募金箱も設置した。
 「地震から何とか逃れても、1カ月が経過するとこれからどうしたらいいのかという不安感が高まってくる」と今井さん。「仏教の教えでは、阿弥陀様は慈悲深い仏。みなさんを照らして見守っていますということをイベントを通じて伝えたい」と話す。
 今井町は、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定され、室町時代末の創建とされる同寺は中核寺院。イベントは本堂で日午後2時から、地元住民らによる合気道や居合道の演武、今井さんの知人で南米・パラグアイの民族楽器「アルパ(パラグアイハープ)」奏者、丸田恵都子さんが「コンドルは飛んでいく」などを演奏する。
 収容人数の都合で事前に同寺(0744・22・5509)に問い合わせが必要。入場無料だが、義援金の協力を呼び掛けている。

老朽化進む県消防学校(宇陀)を大和高田に移転へ

老朽化が進む県消防学校=宇陀市


知事が会見で発表

 山下真知事は7日の定例記者会見で、老朽化が進む県消防学校(宇陀市)を大和高田市の旧高田東高校の跡地に移転すると発表した。令和6年度予算に関連経費を盛り込む。
 現在の消防学校は昭和48年の開校から約50年が経過し、建物が老朽化。敷地面積は近畿の府県では最小の約1㌶で、近隣は住宅地のため新たに訓練施設を建てるのが難しく、一部訓練は他府県の施設を借りていた。そのため県は、県保有の未利用地への移転建て替えを検討してきた。
 移転場所は約3・6㌶で十分な敷地面積を確保でき、公共交通機関のアクセスが良いなどの利点があるという。県は訓練施設も充実させる方針で、整備費は今後算定する。

 教員負担軽減策も

 また山下氏は、学校教員の負担軽減に向け、教員の代わりに部活動の指導や大会引率などを行う「部活動指導員」の配置を拡充する案を発表。公立中学校に指導員を配置する市町村に対する補助金を、前年度の4千万円増となる7千万円を6年度予算案に計上する。8年度に中学校教員の休日の部活動指導の廃止を目指す。
 県内の小中学校で資料の印刷や学校行事の準備補助などに従事する「教員業務支援員」について、市町村が負担している事業費を県負担とすることで全市町村が公立小中学校に配置できるよう目指す。合わせてスクールカウンセラーや学習支援員も拡充に向けた補助を進める。山下氏は「先生には先生でなければできない仕事に集中してもらうことで、子供の健全な発育成長を目指したい」と狙いを説明した。

大和三名園「香藕園」大規模修復へ、CFで支援募る 当麻寺

大規模な修復工事が予定されている当麻寺中之坊の庭園「香藕園」

葛城市の当麻寺中之坊は、国指定史跡・名勝の庭園「香藕園(こうぐうえん)」の大規模な修復を行うため、インターネットで資金調達するクラウドファンディング(CF)で費用の一部を募る。8日から5月7日まで、近鉄グループのアド近鉄のCFサイト「エールレール」で募集する。
庭園は桃山時代に造られ、江戸時代初期に後西院(後西天皇)の行幸に際し、第4代将軍・徳川家綱の茶道指南役で茶道石州流の祖・片桐石州が改修し、今の姿になったと伝わる。
歩いて鑑賞する回遊式庭園で、池は「ハスが香る庭園」を意味する名前の通りハスやスイレンが咲き、国宝の三重塔「東塔」を借景としている。その美しい眺めから大和三名園の一つに挙げられ、昭和9年に国の史跡・名勝に指定された。
ただ、近年は経年劣化が進行。池の底のひび割れで水漏れがひどくなり、ポンプで注水しなければならなくなった上、この漏水の影響で地盤が緩んで土塀が傾斜し、ひび割れが発生した。石組みも整備が必要で、令和6年度から5年をかけて修復することになった。
総事業費は6150万円の見込み。初年度は1400万円だが、国、県、市の補助を充てても6割が寺の負担になる見込み。このためCFで広く支援を求めることになった。寄付額は1万~20万円。目標額は700万円で、達成しても期間終了まで募集を続ける。返礼品は支援者の名前の奉納、特別な御朱印、1年間毎月の先祖供養などがある。
松村實昭貫主は「後世に伝えていくために、みなさんのお力をお借りしたい」と話している。

池の漏水の影響でひび割れした土塀

小学生ラガーマン、全力トライ! ミニラグビー


小学生ラグビーの祭典「奈良西ライオンズカップ・ミニラグビー大会」が4日、奈良市のロートフィールド奈良で開かれ、県内各地から参加したラグビークラブの選手たちが熱い戦いを繰り広げた。
他のスポーツ競技と比べて大会の少ないラグビーの試合機会を提供し、ラグビーを通じて青少年の育成を図ろうと、奈良西ライオンズクラブが毎年開催する恒例イベント。県ラグビーフットボール協会に加盟する8クラブから計35チーム、約380人が参加した。
開会式で、やまのべラグビー教室の6年、奈良豪己主将(12)が「ラグビーができることに感謝し、仲間とともにプレーしたい」と選手宣誓。3~6年の各学年に分かれ、3・4年は7人制の7分ハーフ、5・6年は9人制の10分ハーフでそれぞれトーナメント戦が進められた。
選手たちは、激しいタックルや巧みなステップをみせ、フィールド上で躍動。声を掛け合いながらゴールに向かい、トライを決めるたびにメンバー同士で喜びを分かち合っていた。

各学年の主な成績は次の通り。
【3年】①やまのべA②やまのべB③生駒ジュニアラグビークラブA、キッズラグビーとりみ
【4年】①とりみA、やまのべA(両チーム同点優勝)③生駒A、広陵少年ラグビークラブA
【5年】①橿原ラグビースクール②とりみA③広陵B、前栽少年ラグビースクール
【6年】①やまのべ②広陵③とりみ、大和郡山市少年少女ラグビースクール

神楽殿焼失から31年、発災の日に合わせて訓練 橿原神宮

再建された神楽殿(左)と外拝殿の前で行われた消防訓練=橿原市の橿原神宮


 橿原神宮(橿原市久米町)の国重要文化財だった神楽殿が平成5年2月4日に失火で全焼したことを教訓に、同神宮と橿原消防署などの合同消防訓練が4日、境内で行われた。新型コロナウイルス禍以前は文化財防火デー(1月26日)前後に行っていたが、火災当日に合わせた訓練は今回が初めて。31年前の火災を知る久保田昌孝宮司は「あの時は火が瞬く間に広がった。神宮にとって2月4日は終生忘れてはいけない日」と気を引き締めた。
 焼失前の神楽殿は、江戸時代末の安政2(1855)年に京都御所に建てられたものが、明治23年の橿原神宮創建に合わせて明治天皇の意向で移築された。平成5年の火災では、境内で燃やした枯れ枝の火の粉が神楽殿の檜皮ぶきの屋根に飛び火して全焼したという。
 出火当時、久保田宮司は社務所にいて非常ベルがけたたましく鳴るのを聞いた。これまで誤作動があったので、その可能性を考えながらも急いで外に出ると黒い煙が上がっていた。神楽殿の檜皮ぶきの屋根に燃え移った火はすさまじい勢いで、「手のつけようがなく、消防車を待つしかなかった」。それだけに、火災の恐ろしさは30年以上たった今も脳裏から離れない。
 神楽殿は8年に再建。同神宮では火災を受けて、神楽殿や拝殿の周囲に放水銃を設置するなど防火対策を強化した。同神宮では職員ら約80人のうち当時を知るのは10人ほどになったこともあり、神楽殿の火災に合わせて毎年2月4日に実施することにした。
 訓練は、神楽殿から出火し本殿にも延焼の恐れがあるとの想定で、職員や消防署員ら約100人が参加。巫女や職員たちが消火器や放水銃で初期消火の訓練をしたあと、消防車から一斉放水が行われた。
 久保田宮司は「火の管理に関しては、このぐらいなら大丈夫だろうという気持ちが一番危険。痛ましい火災を忘れず、訓練を通じて火を出さない意識を高めてほしい」と職員に呼び掛けた。

仁王サンダルで健脚祈願 収益を解体修理費に

仁王サンダルをデザインした安達えみさん。右は、壷阪寺の喜多昭真執事


 人形浄瑠璃「壺坂霊験記」で知られる奈良県高取町の壷阪寺が、仁王像の解体修理費の一部をまかなうため、仁王像をデザインした「仁王サンダル」の販売を始めた。力強く足を踏ん張る姿で「健脚祈願」としても信仰を集めていたことから考案。昨夏に始まった解体に伴う調査では、戦国時代の年号の墨書が見つかり、江戸時代初めとされていた造立が100年以上さかのぼることが判明した。同寺の喜多昭真執事は「浄財によって修理と調査が無事に終わり、その姿をお参りいただければ」と話す。
 境内の仁王門の口を開けた阿形像(高さ約3㍍)と口を固く結んだ吽形像(同)は、風雨にさらされた時期もあって傷みが激しく、とりわけ阿形像は右手が外れた状態となっていた。美術院国宝修理所奈良国立博物館工房(奈良市)で、約400年ぶりに3年がかりの修理が進められている。
 両像の造立時期は分かっていないが、吽形像の足の部分には江戸時代初めの「慶長十七年」(1612年)の墨書があり、この時期に造立か修理が行われたとされていた。しかし、今回の調査によって、吽形像の頭部の内側から「文明十七年」(1485年)の墨書が見つかり、戦国時代初めに造立された可能性が高まった。今後、さらに調査を進めるとしている。
 修理については、両像とも文化財に指定されておらず、行政からの補助金がないため費用3千万円は同寺が負担。仁王像は、健脚祈願として手作りのわら草履を供える参拝者も多く、一部の費用をまかなうため仁王サンダルを考案した。
 デザインは、「ホトケ女子」として県内寺社の魅力発信にメディアでも活躍するデザイナーの安達えみさん=奈良県山添村在住=が担当。黒色のサンダルに白の仁王像の顔を小さくあしらった。安達さんは「壷阪寺の仁王像は顔が小さい割に肩幅がしっかりしていて力強い。かわいさと勇ましさを表現しました」と話す。
 サイズは「LL」「M」の2種類で、いずれも1足3300円。同寺境内と寺の公式ホームページで販売。問い合わせは同寺(0744・52・2016)。

「ア」「ウン」の文字と顔が描かれた仁王サンダル

ドローンとAIで効率化 橋梁点検の新技術を披露

 奈良国道事務所と近畿道路メンテナンスセンター、奈良市は、ドローンを活用した橋梁点検の新技術のデモンストレーションを同市佐紀町の平城大橋で行った。衝突回避センサーを備えたドローンにロボットカメラを搭載し、撮影した画像を人工知能(AI)が解析してひび割れなどを見つける。狭い場所の点検も容易で、マンパワーに頼った従来の点検と比べ、約4割のコストカットにつながるという。
 ドローンは上下に3個ずつ計6個の障害物検知用カメラを備え、AIで障害物を回避しながら撮影を行う。障害物との距離は通常1㍍だが、設定変更で50㌢まで近寄れる。機首に角度を変えられる高解像度のカメラを搭載し、機体下側にカメラを持つ従来機種では不可能だった上方向の撮影が可能で、橋梁の下側の点検もできる。
 撮影した画像は富士フイルムの画像診断サービス「ひびみっけ」が自動で合成し、AIが幅0・1㍉の微細なひびも検出する。ひびの長さや深さといった数字のデータも提示できる。
 従来の橋梁点検は特殊な車両を持ち込み、人の目で異常の有無を確認し、現場環境によっては通行規制をかける必要があった。AIとドローンによる自動化と省力化でコストが大幅に縮減し、交通規制の必要もなくなるという。
 デモには国道事務所や奈良市職員ら約40人が参加。ドローンが狭い場所に入り込んだり、連続撮影した画像をひびみっけが1枚の画像に合成して診断したりする作業を見守った。出席した仲川げん市長は「橋梁は修繕や維持でコストや労力がかかる。現場に取り入れていきたい」と述べた。

撮影を終えて帰還するドローン

「米国を安保に巻き込め」奈良「正論」懇話会詳報 河野克俊氏講演

 奈良市の奈良ホテルで1月15日に開かれた奈良「正論」懇話会。講師を務めた自衛隊元統合幕僚長、河野克俊氏は「今後の日本の安全保障と課題」と題して講演し、「『巻き込まれ論』に基づく日米安保反対は〝今は昔〟。日米安保から逃げようとする米国を巻き込まないといけない」と訴えた。講演の主な内容は次の通り。
 今、世界に3つの「ホットスポット」がある。ウクライナと中東、台湾。これらを個別に考えると見方を誤る。この3つはすべて関連している。
 ウクライナでは、攻め込んだロシアが成果を挙げられず長期化して不利な状況だったはずが、昨年10月にハマスがイスラエルにロケット弾を撃ち込んだのを機に「長期化すればするほど露に有利な状況」に逆転してしまった。
 ウクライナは欧米、NATO(北大西洋条約機構)の軍事援助が頼り。だが、ハマスの攻撃で米国はイスラエルへの軍事援助も必要となり、ウクライナ分は目減りする。ハマスの背後にはイランが控え、露とイランは通じ合っている。露にとってこの好ましい状況は「ハマスと連携している」と考えた方が自然だ。
 一方、中国にとってウクライナや中東に米国の目が向くことは、台湾への集中力を減らせるので好都合。現在の国際秩序を是とする欧米や日本、豪州などのグループと、こうした国際事情を変更したい中国や露、イランなどのグループの対立構造が、ハマスの一件で明確になってきた。
                    ■   ■
 今回のウクライナ戦争によって、世界の安全保障に大きな影響を与えた点が2つある。
 1つは、NPT(核不拡散条約)体制の大前提が崩れたこと。「核保有国は〝分別のある大人〟であるから非保有国は安心してほしい」という理屈で世界を律してきたのに、核保有国の露が非保有国のウクライナを脅し上げているのだ。NPT体制が意味をなさなくなりつつある。
 もう1つは、「軍事的に動かない米国」を世界が目の当たりにしてしまったこと。バイデン米大統領は早々に「軍事介入しない」と明言し、その理由を「まかり間違えば核戦争に進展する恐れがある」とした。米国の「核の傘」に百パーセント依存する日本で、その信頼感が揺らいで当然。核抑止について、国家のリーダーがタブーを恐れず議論を提起すべきだ。韓国ではその議論が起こっている。
                    ■   ■
 台湾総統選で、中国に屈服しない与党・民進党の頼清徳副総統が勝った。中国と話し合う姿勢を示していた国民党側の勝利なら中国は政治的に併合を進める手段を考えただろうが、今回の結果を受けて軍事的手段を濃厚に打ち出す踏ん切りをつけたのではないか。
 「台湾問題こそ米中対立の『天王山』」とする向きがあるが、私はむしろ「入り口」だと考える。習近平氏が思い描く台湾併合の理想的なパターンは、台湾に傀儡政権を打ち立てて米国が介入する隙を与えず一気呵成に進めるというやり方だろう。
 台湾併合の際、中国は尖閣諸島(沖縄県)に手を出さない。曲がりなりにも米国が「日米安保条約の適用範囲」としているからだ。中国は「無人島の尖閣など熟柿のごとくいずれ落とせる」と考えている。
                    ■   ■
 今後の日本の安全保障を考える上で注意しなければいけないのは、米国の変化だ。米国はもともと「モンロー主義」(欧米両大陸の相互不干渉)、「アメリカ・ファースト」の国。だが第二次大戦に勝利し、米ソ冷戦に突入したため、好むと好まざるにかかわらず西側のリーダーになってしまったが、日米安保条約はそんな特別な時期に成立したのだ。米国は今、〝本来〟の姿に戻りつつある。
 「米国がやられても何もしませんが、日本がやられたら助けてくださいね」という片務的な条約は、米国が許してくれない時代に入っている。
 かといって、「日米同盟を廃止して核武装を含めた自主防衛を進める」という主張も、「日米同盟を廃止して非武装中立の立場を取る」という主張も、どちらも賛同を得られない。つまり、米国を抜きにした日本の安全保障は成り立たないということだ。
 かつて日米安保条約に反対する人たちは「巻き込まれ論」を掲げ、「米国の戦争に巻き込まれる」と訴えたが、これからは発想の転換が必要だ。片務的な条約から逃げようとする米国を日本の安全保障に巻き込まないといけない。

奈良「正論」懇話会の講演会で、「今後の日本の安全保障と課題」と題して話す河野氏

終末期ケア、家族で考えて 大和郡山市が啓発動画

動画「大和家は今日も晴天なり」の一場面


 大和郡山市は、事前に終末期医療などについて家族らと話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」に関する啓発動画「大和家は今日も晴天なり」を制作し、ホームページで公開している。
 動画は約分間で、大和家の祖父・英雄(78)が定期健診でがんと診断され、家族と話し合いながら終末期医療やケアについて計画を立てる|というストーリー。市医師会監修のもと市地域包括ケア推進課の職員が脚本などを手がけ、藍染体験工房「箱本館 紺屋」や市立休日応急診療所を舞台に撮影した。
 同市ではこれまでに「児童虐待予防」や「認知症への理解」などを啓発する劇を舞台で披露してきた。
 動画の脚本・監督を担当した駒谷功主査は、窓口で終末ケアの支援の方針に悩む家族の様子をつぶさに見てきたといい、「人生の終わりを納得して迎えられるように、普段から家族と話し合うことの大切さを知ってもらいたい」と話している。

亀の甲羅? 古代の陶棺ずらり 奈良市埋文センターで特別展

独特な形状の古代の陶棺が並ぶ特別展=奈良市


 亀の甲羅のような形状をした古代の棺「亀甲形陶棺」を集めた秋季特別展が、奈良市大安寺西の市埋蔵文化財調査センターで開かれている。担当者は「多くの陶棺が並ぶ様子は壮観。芸術作品のような意匠にも注目してほしい」と話している。12月1日まで。
 同センターによると、亀甲形陶棺は古墳時代後期から飛鳥時代にかけて作られた。古代の棺は主に木や石で作られていたが、陶棺は粘土で焼き上げられている。近畿地方と岡山県内に分布が集中しており、奈良市内では北西部の丘陵エリアの遺跡からの出土例が多い。
 今回の特別展では、埴輪作りに従事した古代豪族・土師氏の墓域とされる同市西大寺赤田町の赤田横穴墓群(6世紀後半~7世紀中頃)から出土した陶棺を中心に展示している。初期は全長2㍍を超え亀の甲羅のようなデザインを施したものもあったが、後期は全長1~1・2㍍で突起のないつるりとした表面が特徴だ。
     ◇
 入場無料で、午前9時~午後5時。11月は土日休館で祝日(3、23日)は開館。問い合わせは、同センター(0742・33・1821)。

元力士のちゃんこ料理人、森本竜司さん(30)


 元横綱・白鵬関の宮城野親方がプロデュースし、今年9月に葛城市内にオープンしたちゃんこ鍋店「ダイニングHAKUHO」で、腕を振るう。自身も元力士で、しこ名は「白海竜」。「部屋直伝の料理を多くの人に食べてもらいたい」と目を細める。
 淡路島出身。小学4年生のときに地元の相撲クラブに入り、中学卒業後は力士を目指して宮城野部屋へ。12歳のときに若年性糖尿病を発症していたが、食事の前にインスリンを打ちながら土俵に立ち、稽古にいそしんだ。
 部屋での生活は苦しくも楽しかったが、食べ物の差し入れが多く、体調のコントロールが困難になった。4年前、「身体のためにも別の道を探したほうがいい」と宮城野親方に勧められ、平成31年1月に引退。その後いったん介護の道に進んだものの、得意の料理で身を立てたいと一念発起した。
 部屋では率先してちゃんこ番をすることも多かったが、作っていたのは鍋料理がほとんど。「将来自分の店を持つために小皿や一品料理の技を身につけたい」と和歌山県内の居酒屋で3年間修業した。
 「そろそろ自分の店を」と考えていたところ、葛城市から「相撲発祥の地であるのに、ちゃんこ料理を味わえる店がない」と新店舗の依頼を受けた宮城野親方に、指名を受けた。
 店がある同市寺口は葛城山のふもとにある自然豊かな地。「稲穂が揺れる姿を見ていると、とても心安らぐ」。地域の人も「応援してるよ」と来店することも増えているという。

 鍋と突き出しの序二段コース2200円、十両コース3850円、幕内コース5500円など(いずれも税込み)。十両コース以上は要予約。だし巻き卵もおすすめ。不定休。午後5時半~10時(ラストオーダーは午後9時半)。葛城市寺口354、(070・9050・3734)。

奈良の観光雑誌「ならめがね」6年ぶりに復刊 フィルムカメラを特集


 奈良の歴史や観光を取り上げてきた雑誌「ならめがね」が、6年ぶりに復刊した。取次会社の倒産により休刊を余儀なくされたが、雑誌の形で街の情報を届けたいとの編集者の思いは変わらず、新型コロナウイルスの感染も落ち着いた時期に合わせて復刊に至った。
 ならめがねは「奈良がよく見えるツール」との意味を込めて平成27年に創刊。「ゆるい・まったり・懐かしいコト」を探求する雑誌として、奈良のスイーツや観光情報、ファッションなどを取り上げ、第7号まで出版を重ねてきた。
 休刊となった29年11月以来6年ぶりとなる第8号は、若い女性を中心に人気を集めているフィルムカメラを特集した。漆作家や人気カフェ店主など各分野で活躍する奈良の著名人が愛用のカメラで撮影した日常風景、愛機に寄せる思いやエピソード、おすすめのスポットなどを取り上げた。また、修理や現像などでフィルムカメラ文化を支える専門店を紹介し、奈良の花の名所もまとめた。
 編集長の松原雄一さんは「奈良のゆったりとした街並みや時間の流れは、フィルムカメラとぴったり。最新のデジタルカメラとは違った温度感で奈良の良さを再発見してほしい」と呼びかけている。
 A4変形判100㌻で1650円。県内の主要書店のほか、インターネットでも販売する。

留学生ら十津川で盆踊り体験

盆踊りを教わる留学生たち=十津川村


 JICA(国際協力機構)関西は、関西の大学院などで学ぶ海外からの留学生を対象に、十津川村で観光文化などを学ぶプログラムを開催した。モロッコやエジプト、南アフリカなど9カ国からの留学生計11人が参加した。
 村体育文化センター(湯之原)で、国の重要無形民俗文化財に指定されている「十津川村の盆踊り」を体験。浴衣に身を包んだ留学生たちは、盆踊りの継承に取り組む「平谷餅搗き踊り保存会」のメンバーから指導を受けながら、盆踊りのステップを楽しんだ。
 同保存会の佐古金一会長(75)は「盆踊りは楽しく踊るのが先祖の供養になる。日本のよい思い出にしてもらいたい」と話した。メキシコ市の職員で、京都大大学院に留学中のカルロス・ロドリゴ・ガリバイ・ルビオさん(41)は、「メキシコにも先祖を敬い、墓の前で食事をしたり踊ったりする習慣があり、日本ととてもよく似ている」と話した。
 留学生たちはこのほか、村の観光名所「谷瀬のつり橋」を訪れたり、稲刈り体験をしたりして、村の豊かな自然と脈々と受け継がれてきた文化などに触れた。

華やかに天平衣装の講義 奈良大

天平衣装を身にまとう学生と解説する山口千代子さん(左)=奈良市


 奈良大学(奈良市)国文学科で天平衣装について学ぶ授業が行われた。学生たちは実際に華やかな古代衣装を身にまとうなどして、理解を深めた。
 講師は古代衣装研究家の山口千代子さん。平城宮跡で開催される「平城京天平祭」の天平行列の衣装を手掛ける山口さんは授業で、リサイクル着物や帯などで作った古代衣装を披露したほか、奈良時代の衣装にまつわるエピソードも紹介した。
 学生たちは山口さんが手掛けた衣装の着心地を確認。女官スタイルに身を包んだ1年生の山内美聖さんは「奈良時代の働く女性は身分の低い人でも華やかな衣装が着られることを知った。軽くて動きやすいのもよいですね」と笑顔を浮かべた。
 山口さんも当時の料理人の衣装を身につけて登壇し、「奈良時代はスカートやベスト、ストールなどを身にまとう、洋装の文化であったことを学生たちに知ってもらいたい」と話した。

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