【過労自殺】誰にでも起こりうること 判断力失い「楽になりたい」

過労自殺の経験を振り返る男性
電通の新人女性社員が過労で命を絶ってから、25日で1年になる。厚生労働省が今年初めて作成した「過労死等防止対策白書」によると、昨年度に労災認定された過労自殺は未遂を含め93件に上った。安倍晋三首相が長時間労働の是正に全力を挙げる意向を表明するなど、国も社会問題として対策を進めるが、一方で「過労自殺は弱い人間のすること」という認識も根強い。だが過去に過労から自殺を図った男性は「誰にでも起こりうること」と強調する。日本精神神経科診療所協会会長で精神科医の渡辺洋一郎氏も「疲労困憊に陥れば精神状態が鬱になるのは当然」として、不調が表れた場合の早期受診を呼びかける。 (藤井沙織)
「心身ともに強いと思っていた自分でも追い込まれた」と話すのは地方放送局で報道記者だった男性(48)。激務に追われた約20年前に自殺を図った。一命を取り留め、今は報道の現場を離れているが、部下が同じ状況にならないよう「現場をフォローできる管理職になりたい」と話す。
■失われた判断力
29歳の夏の金曜の夜。「死ねば楽になれる」とふと浮かんだ思いは、確固たる決意になった。
週末に実家で両親と食事をし、1人暮らしのマンションに帰ってから掃除をした。週明けの月曜日、ビニールひもを何重にも巻いて玄関上部の金具にくくり付け、脚立に上った。
「お父さんお母さん、ごめんなさい」。涙がこぼれた。職場からの連絡で家族に発見されたのは数時間後。ひもを何重にもしたことで首にかかる重さが分散され一命を取り留めた。
意識が戻ったときには「死ねなかったんだ」という思いがよぎったが、号泣する家族の姿を見て、ばかなことをしたと後悔した。残される家族の思いすら考えられなくなっていた。
■「やりがい」あった
望んで入った会社だったし、上司にも頼られ、やりがいも感じていたという。だが朝方まで働く日々が続き、次第に疲れ果てていった。「事故にあってけがをしたら休める」とすら考えるようになった。
自殺を図る前の数日間は、任された仕事で思うような成果を出せない中、「自分がやらないと仕事が進まない」と自分を追い込んでいた。しかし、自殺未遂後の1カ月の入院中、自分がいなくても職場は機能していた。寂しさは感じたが、「あんなに頑張らなくても良かったな」と思えた。
■経験を生かして
報道の現場に復帰後は過労自殺に関する取材を進めながら、講演会で「重要なのは管理職による現場の指揮」と過労自殺の防止を訴えてきた。「仕事を一人に背負わせない。行き詰まっている部下は休ませる。周囲が必要なフォローをするだけで、人は追い詰められずに済む」
8年前、激務に見舞われ鬱症状を再発した。家族と自分のため、「生きがい」ともいえる報道の現場を離れ、総務の仕事を選んだ。今では現場を支える裏方にやりがいを感じている。「この仕事をきわめ、現場をフォローできるいい管理職になりたい」
「強い使命感」共通 薄れる「支え合い」
「自分がやらないと仕事が進まない」と考えていた元報道記者の男性のように、過労自殺に至る人の共通点を「強い使命感を感じて限界を超える仕事に取り組み、疲労をため込む」と渡辺氏は指摘する。未然防止には、「互いに助け合える職場環境が必要」とする。
渡辺氏によれば、上司や同僚と支え合える関係にあれば、仕事を一人で抱えず相談でき、周囲も精神的な不調に気付けるが、近年は個人主義の影響で、こうした風土が薄れているという。
過労で鬱病を発症した場合、「この状況から逃げたい」と衝動的に自殺に至るケースが多い。渡辺氏は、「疲れているのに眠れず、好きなことが楽しめないという状況は危険。直ちに病院に行ってほしい」と訴える。
このほか、過労自殺では時間外労働の長さばかりが取り上げられるが、渡辺氏は「業務として必要な時間だと納得できなければ、基準以下の労働時間でも強いストレスを受ける」とし、時間の長さだけでなく、質も不調を倍増させる大きな要素と指摘している。
心境や対処法、漫画に ツイッター投稿に反響
電通社員の過労自殺を受けてフリーのイラストレーター、汐街コナさんがツイッターに投稿した漫画が反響を呼んでいる。
過去に「うっかり自殺しかけた」という汐街さんは、「死ぬくらいなら辞めればいい」という声に、「自殺への道は、本人の意思と関係なくつながってしまう」と主張する。
漫画では自殺に至るまでの心境や対処法のほか、自身が過労に苦しむ中で周りから掛けられた「目を覚ましてくれた言葉」を紹介している。汐街さんは「漫画を読んで、こういうこともあるんだと頭の片隅に入れてほしい」と話している。(産経WESTで全編を掲載)
【鹿角抄(コラム)】奈良市の火葬場移転 自治会の新たな問題、鮮明化 市は「話し合いで…」と静観
奈良市の長年の懸案だった火葬場移転問題が、ようやく動き出した。16日の市議会本会議で、移転関連費用8200万円を含む今年度一般会計補正予算案が可決された。市が建設費に当て込んでいる合併特例債は、平成32年度末までの工事完了が条件のため、予算可決はぎりぎりのタイミングだった。だが、行政手続きが前進した一方、地元では住民間の対立が深刻化するなど、新たな問題も表面化している。
奈良市白毫寺町にある「東山霊苑火葬場」は大正5年に開設した。老朽化は深刻で、冷却装置のない炉は1日8件の火葬が限界という。このため、市民の4人に1人は市外の火葬場を利用しているのが現状で、火葬場移転は長年、市の「最重要課題」だった。
だが、3月議会に市が提案した関連費用は、仲川市長が「再議」に付しても議会の承認を得られなかった。これを受け、市は市民説明会や専門家による第三者評価を行い、計画案も修正した。12月議会でようやく承認を得た仲川げん市長は、「取り組みが評価され安心した」と胸をなで下ろした。
だが、事業はこれからが本番となる。しかも、計画地の横井町に隣接する鹿野園町では、計画の賛否をめぐり地元住民の対立が鮮明化している。同町自治会では計画に賛成する自治会長、副会長が役員改選で解任され、反対派住民が新たな自治会長に選ばれた。
解任の正当性を主張する反対派に対し、賛成派は「不当な手段での解任は無効」と対立を深めるなど、コミュニティーの分断は深刻な状況となっている。市は「町内のことなので、話し合いで解決してほしい」と静観の構えだが、市の事業に端を発した住民間の亀裂は、決して浅いものではない。
市は今年度中に都市計画決定を行い、32年度末までの工事完了に向けて事業推進を急ぐ構えだ。議会承認が得られた事業といっても、事業実施にはやはり住民の理解が必要だ。今後の市の対応にも、注目していきたい。 (神田啓晴)
【やまと人巡り】技能競技大会銀賞に自信 県立高等養護学校2年、團孝明音さん(16)
今年10月に山形県で開かれた第36回全国障害者技能競技大会(アビリンピック)の技能競技種目「ビルクリーニング」で銀賞に輝いた県立高等養護学校2年、團孝(だんこう)明音さん(16)。「(競技中は)集中でき、(ビルクリーニング作業の)手順はほぼ完璧にできた」と喜びを語った。
アビリンピックは障害のある人が日頃培った技能を互いに競い合う大会。ビルクリーニングは、会場の模擬オフィスで指定時間内に確実な清掃技術やマナー、安全に配慮した作業などの技能を競った。
学校の授業だけでなく放課後も練習を重ねたといい、「大会前は自信がなかったけれど、(銀賞を受賞し)自信が持てました」と笑顔を見せた。 (岳)
【やまと人巡り】「お客さまの楽しめる空間を」 奈良ホテル・シニアソムリエ、宮崎剛志さん(42)
「気になることが出てくるとどんどんお酒について勉強したくなった」。奈良ホテルのシニアソムリエ、宮崎剛志さん(42)はこう語る。
平成6年、奈良ホテル入社。20代後半から国内やヨーロッパのブドウ畑を巡り、ワインの知識を増やし続けた。25年にはバーテンダーの世界大会で3位となり、唎酒師の資格も有するというお酒のエキスパートの地位を確立している。
今年11月にはフランスのシャンパン愛好団体「シャンパーニュ騎士団」からシャンパンの啓蒙活動に貢献したとして「シュヴァリエ(騎士)」の称号を叙任した。「奈良ホテル歴代ソムリエの積み重ねとしていただいた称号。これからもお客さまの楽しめる空間を提供していきたい」。さわやかな笑顔をみせた。 (啓)
たっくんのバームクーヘン屋さん、再起のオープン クラウドファンディングで異例の集金
9月に火災で閉店した河合町の洋菓子店「たっくんのバームクーヘン屋さん」が17日、奈良市に物販専門店をオープンした。インターネットで寄付を募る「クラウドファンディング」で資金を集めたところ、開始2日で目標額の70万円に到達した。河合町の店舗も来年2月初旬に再開できる見通しといい、代表の佐原知時(ともとき)さん(45)は、「助けてくれたファンに恩返しがしたい」と話している。
同店のバームクーヘンは吉野産の鶏卵や五條産のはちみつを使ったこだわりの逸品。しっとりとした仕上がりが評判だった。
だが、今年9月20日午前9時ごろ、調理場から出火し、隣の牛乳販売店など3棟約180平方㍍を全焼した。はちみつを湯煎するコンロの火の消し忘れが原因だったという。幸いけが人はなく、佐原さんも友人の励ましで「何とか前を向き直すことができた」という。
店舗再開の資金を集めようと、11月末からクラウドファンディングを開始。今月14日時点で、目標額の倍以上にあたる総額167万円が集まっており、サイトを運営する「サイバーエージェント・クラウドファンディング」関西支社長の菊地凌輔さん(23)は「競争が激しいスイーツ部門で短期にこれだけ資金が集まるのは異例。多くのファンがいる証拠」と話す。
再開を機に、人気商品「春鹿バーム」(税込み1400円)などに加え、奈良のご当地悪役キャラ「ブラックス将軍」とコラボした新商品「ブラックスバーム」も開発中。「感謝の気持ちを忘れず、社会に貢献できる店にしたい」(佐原さん)と、30日午後には「森のカフェひがしむきガーデンズ」(奈良市)で再開後初のイベント「バームクーヘン解体ショー」も開く予定だ。
【メモ】
「たっくんのバームクーヘン屋さん」(奈良市大宮町2の5の2)は午前10時半~午後6時営業。日曜祝日は休業。問い合わせは同店(☎070・5346・5563)。
【バンビシャス通信】地域と育つチームを目指して 小学校でバスケット教室実施

子供にシュートの指導をするボイキン選手
プロバスケットボール選手を身近に感じてもらう活動の一環として小学校訪問を実施している。今月14日には大和郡山市立昭和小学校をルーベン・ボイキン選手と天理大出身の菊池広明選手が訪問し、バスケットボール教室を実施した。
準備運動、ボールと触れ合う練習、ドリブルやシュート練習を子供と一緒に行った。選手と触れ合う中で、子供からは笑顔があふれた。子供対選手の試合ではボイキン選手が3ポイントシュートを決めたり、ダンクをみせるなど大きく盛り上がった。
子供たちは「外国籍選手は手も身長もとても大きかった。ドリブルはとても難しかったけど楽しかった」。ボイキン選手は「ドリブルは手のひらではなく、指先を使うことを伝えた。教えることはとても好きなので、とても楽しかった。子供たちの素晴らしい将来を願う」と話していた。今後も学校訪問を続け、地域の方々とともに育つチームを目指す。
Bリーグは60試合のリーグ戦のうち22試合を終え、中地区6勝16敗で5位と厳しい成績だ。先週から3月中旬までの24試合はオーバーカンファレンスとして、東地区・西地区の全チームと対戦する。今週末はホームで東地区1位の群馬クレインサンダーズと対戦する。年内最後のホームゲーム、なんとしても連敗を阻止し、勝利で締めくくりたい。 (バンビシャス広報 和田真智子)
【試合結果】広島ドラゴンフライズ86―77バンビシャス(10日)▽広島ドラゴンフライズ73―70バンビシャス(11日)
【ホーム試合予定】群馬クレインサンダーズ戦=17日(土)午後6時、18日(日)午後2時▽ならでんアリーナ(奈良市中央体育館)
裁判所の植え込みに「DO NOT OPEN]と書いた不審物 一時周辺を交通規制

不審物の中をX線を使って調べる捜査員
15日午前10時20分ごろ、奈良市登大路町の奈良地裁の職員から「『開けるな』と書いた不審な箱が裁判所の植え込みに置いてある」と110番通報があった。奈良県警の爆発物処理班が出動し、中身の確認を進めている。
奈良署によると、不審物は約10㌢四方で高さ約4㌢。新聞紙と透明のポリ袋で包まれていた。ポリ袋には「開けるな」の意味の英語「DO NOT OPEN」と赤色で書いてあった。
現場は近鉄奈良駅の東約200㍍の県庁や県警、税務署などが集まる官庁街の一角で、奈良公園に面している。この不審物の処理で県警は裁判所前の国道369号の交通規制を実施し、付近は一時物々しい雰囲気に包まれた。
【あっ、これ食べたい!】 morico labo. 隠れ家のようなお店だよ! 大人気は年1回の「ガレット・デ・ロワ」

ガレット・デ・ロワ(左奥)と季節のタルト
奈良市法蓮町にある「morico labo.」。店主のmoricoさん(40)の自宅横で月に数日だけオープンする隠れ家のような店舗だ。
季節のタルトやクッキー、朝焼きで外側がカリカリなカヌレなど、焼菓子を中心に10種類ほどが並ぶ。
中でも大人気なのが、1月に予約制で販売されるフランス菓子の「ガレット・デ・ロワ」。アーモンドクリームをパイ生地で包み込んで焼き上げた焼菓子で、表面の柄には「太陽」「麦の穂」「月桂樹」があり、どれになるかはお楽しみ。お菓子の中には、小さな陶器の人形「フェーブ」が入っている。
パイ生地はサクッ、パリッとした食感で、しっとりとしたアーモンドクリームのやさしい甘さが絶妙。「フランスの伝統菓子を奈良でも広げたくて。今回も頑張って作ります」とmoricoさんはにっこり。「トースターなどで少し温めてから食べるのがお薦め」という。
年々人気が上昇し、前回は120個以上販売した。今回は1月12日に店頭で、13日からインターネットで受け付けを開始する。数量限定ですので、予約はお早めに。 (朋)
【住所】奈良市法蓮町(詳細は電話で問い合わせ)
【連絡先】☎090・1155・9509
【ホームページ】http://moricochan.exblog.jp/
【オープン予定日】12月16日、20日、1月12日、20日、27日、28日
【営業時間】午前11時~午後3時(売切れ次第終了)
【メニュー】ガレット・デ・ロワ(17㌢、3200円)、カヌレ(250円)、ウィークエンドシトロン(300円)、チョコとマロンと木の実のタルト(350円)、いちじくとくるみのタルト(300円)、珈琲とピーカンナッツのタルト(320円)、りんごのタルト(350円)、クッキー(150~200円)、メレンゲ菓子(100~150円)など
「全国でも例がない」 生駒市が〝おもいをかわす婚姻届〟 3年後が楽しみ…

「おもいをかわす婚姻届」
新婚当初の思いを届けます―。奈良県生駒市は、結婚相手への気持ちを綴る便箋つきのオリジナル婚姻届を作成した。届け出時にメッセージを書いた便箋と合わせて提出すると、3年後に市が2人に郵送する。生駒市市民課によると同様の婚姻届は「全国でも例がない」といい、担当者は「夫婦の門出を祝い、まちの魅力向上につなげたい」と話している。
地域の風景やキャラクターをデザインした〝ご当地婚姻届〟が近年話題になる中、今回、市が作成したのは、「おもいをかわす婚姻届」。
婚姻届の左右には、夫妻が双方に向けてメッセージを書く便箋(A4判)がついている。便箋はミシン目に沿って取り外すことができ、付属の封筒(82円切手が必要)に入れて市に提出すれば、3年後の届け出月に、市から2人に郵送されるという。
作成は大阪市のデザイン会社の協力を得たといい、婚姻届の中面や便箋の表面には「2人をつなぐ」との意味を込めたハトや、顔を赤らめた新婚夫妻のイラストが描かれている。
転勤などで住所が変わっても、市に連絡すれば郵送先の変更も可能という。担当者は、「届け出を単なる手続きに終わらせず、今まで以上に互いを思いやる気持ちをはぐくんでもらえたらうれしい」としている。
「おもいをかわす婚姻届」は13日、市民課窓口で配布を開始。20日から受け付ける。問い合わせは市民課(☎0743・74・1111)。
橿原市長、「設置に賛成できない」 場外馬券・車券売り場計画に
奈良県橿原市の国道24号沿いに「場外馬券・車券売り場」の設置計画があることが13日、開会中の市議会で判明した。答弁に立った森下豊市長は「設置には賛成できない」との考えを表明。場外馬券場などの設置には地元の同意が必要ため、当面は設置できないとみられる。
市によると9月下旬に業者が市役所を訪れ、事業計画を説明した。国道24号沿いの映画館が入っている建物内での開設を計画しており、広さは計約1600平方㍍。地方競馬の馬券と、競輪の車券を販売する複合型施設で、1日あたりの来場者は約500人を想定しているという。
市によると、業者から事前の相談はなかったといい、「計画地近くには学校などがあり、教育委員からは『施設の設置は好ましくない』との意見も聞いている。計画には交通、防犯、環境上さまざまな問題があると判断している」としている。
地元住民からも反対の声が多いといい、この日の議会で答弁に立った森下市長は、「市としてはふさわしくない施設。何百人もの人が集まることを考えると、賛成はできない」と述べた。
障害者の虐待被害26人 奈良県の27年度調査 前年度比12人増
平成27年度に家族や福祉施設職員から虐待を受けた障害者は前年から12人増の26人だったことが、奈良県障害福祉課の調査で分かった。今年7月には相模原市で障害者施設の入居者19人が刺殺される事件が発生しており、奈良県は福祉関係者らへの注意喚起や啓発を進めている。
県によると、27年度に県障害者権利擁護センターや市町村虐待防止センターに寄せられた障害者虐待の通報・相談は計58件あり、うち20件(26人)が虐待と認定された。虐待を行った人は、家族などの「養護者」が14件(前年比2件増)で最多だった。次いで障害者福祉施設従業員4件(同2件増)、勤務先などの「使用者」2件(同2件増)だった。
虐待の内訳(延べ件数)は、殴るなどの「身体的虐待」13件▽貯金を使い込むといった「経済的虐待」12件▽「心理的虐待」4件▽「放棄・放置(ネグレクト)」2件▽「性的虐待」1件-だった。警察が対応したケースはなかった。
県は障害者施設の職員や、相談を受ける市町村職員らを対象とした研修を開催しており、県の担当者は「虐待防止には、何が障害者への差別にあたるのかを知り、意識を高めることが重要。今後も啓発活動に力を入れる」としている。
■差別解消へ期待 行政の相談態勢確立■
障害者への不当な扱いをめぐっては県が今年4月、障害者への差別を禁じる「障害者差別をなくす県条例」を施行した。問題解決への具体的なアプローチ方法を定めたほか、悪質な事業者や施設名の公表を決めた。
県によると、これまでは障害者差別に関する相談が県や市町村に寄せられても、「個別対応にとどまっていた」(県担当者)といい、態勢が不十分との批判があった。
4月に施行された県条例では初めて、障害者差別に対する相談の流れを規定。まず県の専門相談員が対応し、解決が難しい場合は学識経験者らで構成する「県障害者相談調整委員会」が検討し、助言などを実施。障害者への差別に該当する行為の疑いがある当事者が同委員会の調査を拒否するなどした場合には、知事が勧告し、従わなければ当事者名や事案の概要を公表するという。
さらに、条例では具体的にどんな言動が障害者差別にあたるかも明示している。たとえば、障害を理由に採用・雇用を拒む▽車いすを利用している身体障害者のタクシー乗車を拒否する▽盲導犬を伴った視覚障害者の入店を拒否する-などが「差別」に該当するという。
県条例の制定に尽力した「障害者差別をなくす条例推進委員会」の清水辰馬事務局長は、「これまで多くの障害者が相談をまともに取り合ってもらえず、苦しい思いをした。行政の相談態勢が確立された意味は大きい」と評価。一方、「まだ理解不足から、不当な扱いや虐待を受ける障害者は少なくない。条例を多くの人に知ってもらい、差別を減らしたい」と話した。
奈良マラソンに1万7000人 冬の大和路駆け抜ける

奈良マラソンで、参加ランナーは大和路を元気いっぱいに駆け抜けた
奈良市のならでんフィールド(鴻ノ池陸上競技場)を発着点とする「奈良マラソン2016」(同実行委員会主催)が開催され、全国から集まった約1万7千人の市民ランナーが冬の大和路を駆け抜けた。
奈良マラソンは今年で7回目。10日に3㌔ジョギング、11日に10㌔とフルマラソンが行われ、荒井正吾知事の号砲を合図にスタート。11日の奈良市は最低気温1・2度と厳しい寒さの中、ランナーたちは平城宮跡や興福寺などの名所を眺めながら走った。
フルマラソンを2時間40分56秒で完走した広陵町の大学職員、前田和良さん(38)は「10月に長男が生まれ、父としての初レースで頑張りました。来年は優勝を狙えるように、また一から練習し直します」と話していた。
フルマラソンは、男子の部では王寺町の平田治さん(39)=TEAM奈良=が2時間27分50秒で2年連続5回目の優勝を果たした。女子の部では、大阪府枚方市の床呂沙紀さん(22)=関西外国語大=が2時間44分5秒の記録で初優勝した。
【鹿角抄(コラム)】言葉は大事、心はもっと大事 夜間中学文化祭を訪ねて…
10月末、奈良県天理市で開かれた「天理の夜間中学文化祭」をのぞいてみた。今年で開校37年の市立北中学校夜間学級には、戦争や家庭の事情で教育を受けられなかった生徒40人が学ぶ。年齢は20代前半から、最高齢は97歳。国籍も日本だけでなく中国、タイ、ベトナムとさまざまだ。当日は生徒手作りの中華粥やバナナ春巻きなど各国の料理が販売され、多くの来場者でにぎわった。
会場には生徒が書いた作文を展示する一室があった。その中で、朝鮮半島出身の80代の女性が書いた文章が、強く印象に残った。
戦争の影響で教育を受けられず、差別も経験したという彼女は作文に、文字の読み書きを学んで「引っ込み思案」だった性格が変わった喜びを綴るとともに、文字に苦労する仲間との交流を振り返りながら、こう書いていた。
「ことばはうまく使えなくても、一緒に勉強しているうちに、なんとなく何が言いたいのか、わかってくるもんなんですねえ。ことばはしらなくても、心は通じる。ことばも大事やけど、人の心はもっと大事やと思うようになりました」
読み書きができる喜びをかみしめながら、「心はもっと大事」と書いた彼女の文章に、強く胸を打たれたと同時に、改めて「心が通じる」ということの意味を考えてみたくなった。
人間のあらゆる活動は、言葉を介することで成り立っている。仕事上のやりとり、友人との交遊、一人で思索にふけるときも、言葉がその中心的な役割を果たしている。
一方で、心が通じるというのは、言葉以前のところで意思疎通ができるということなのだろう。言葉を介さなくても、相手が考えていることや感じていることが分かる、つまり、それだけの想像力や思いやりが働く、ということなのだと思う。
彼女の作文に出合って感じたのは、日ごろ、言葉は通じていても、心が通じていない人間関係が多くあるのではないか、ということだった。
「心のつながり」などというと、今の時代には古くさくて笑われそうな響きもあるが、そんな時代だからこそ、真剣に思いめぐらせる価値があるのだと、強く思う。 (浜川太一)
冬のボーナス あったか~い 奈良県職員の平均83万4003円
公務員の冬のボーナスにあたる期末・勤勉手当が、県内で一斉に支給された。奈良県は教員や警察官を含む県職員1万5082人(平均年齢42・8歳)に対し、総額125億7843万円を支給。1人あたりの平均支給額は83万4003円だった。
奈良県人事委勧告により、昨年同期と比べ支給月数が0・05カ月分増え、1人あたりの平均支給額は1万4352円アップした。
知事への支給額は300万643円。知事以外の県特別職や県議では、副知事234万699円▽議長230万8762円▽副議長201万6877円▽一般議員186万1365円-だった。
県内12市の市長で最も高額だったのは奈良市の仲川げん市長で、244万3360円。一方、市の財政状況を考慮し、大和高田市の吉田誠克市長は平成16年4月から50%、天理市の並河健市長は26年5月から20%、それぞれカットしている。
また、葛城市の阿古和彦市長は、今年10月31日に就任したため、3割の支給額になっている。
■知事・市長の冬のボーナス支給額■
知 事 荒井正吾 300万643円
奈 良 仲川げん 244万3360円
大和高田 吉田誠克 117万2325円
大和郡山 上田 清 225万5209円
天 理 並河 健 186万7628円
橿 原 森下 豊 241万3928円
桜 井 松井正剛 173万1843円
五 條 太田好紀 191万918円
御 所 東川 裕 192万2289円
生 駒 小紫雅史 239万5780円
香 芝 吉田弘明 220万9944円
葛 城 阿古和彦 64万7167円
宇 陀 竹内幹郎 169万1250円
(税込み、敬称略)
【生け花】初冬
鈴口江津甫 (櫻未生流)
【花材】黄金ヒバ、小菊
【花器】黒大皿水盤
【作意】初冬に美しい黄金ヒバと、自宅の庭に咲いた小菊2種をシンプルな取り合わせで、自然の曲線を生かして生けました。
黄金ヒバには輝ける未来への願いを込め、橙色の小菊は控えめでかれんな美しさを、鮮やかな黄色の小菊ははつらつとしたエネルギーを表現しています。
幸運の女神、原口優さんが笑顔でPR 年末ジャンボ1億円

宝くじ幸運の女神の原口優さん
1等と前後賞の賞金総額が10億円の「年末ジャンボ」(第704回全国自治宝くじ)PRのため宝くじ幸運の女神、原口優さん(28)が8日、産経新聞奈良支局を訪れた。
今回の年末ジャンボは1等1億円105本の「ミニ1億円」と1000万円1000本の「プチ1000万」も同時発売され、夢は大きく広がる。
幸運の女神の原口さんは「街を散歩しましたが、奈良は空気も運気もいい感じがしました。ぜひ県内で購入してください」と話していた。いずれも1枚300円で、23日まで発売する。抽せんはいずれも31日。
12月12日は新聞休刊日です。
日頃は産経新聞ほか、グループ紙をご購読いただきまして、まことにありがとうございます。
12月12日は「新聞休刊日」となっており、朝刊の配達がございません。大変ご不便をおかけいたしますが、ご理解くださいます様宜しくお願い致します。
普段、インターネットでニュース記事を読んでいただいている皆様、「ニュースはネットで十分」と思っていらっしゃる皆様、紙の新聞を読むと、新しい発見があるかもしれません。
産経新聞の試し読み、ご購読はhttp://sankei-nara-iga.jp/koudoku.html
【あっ、これ食べたい!】昼時は行列 「特性つけそば」は女性にも 麺食堂88

女性にも人気の「特製つけそば」。麺200㌘、レアチャーシューが「つけそば」の2倍、さらに煮卵も付いている
奈良県川西町結崎にある「麺食堂88」は、昼どきには行列ができるラーメン店だ。女性にも人気の「特製つけそば」は麺200㌘、レアチャーシューが「つけそば」の2倍、さらに煮卵も付く豪華な一品となっている。
つけダレは奈良市の「イゲタ醤油」、御所市の「片上醤油」に加え、「企業秘密の醤油」の3種類から作る醤油ダレとコラーゲンたっぷりの鶏出汁、アクセントに数種類をブレンドした酢などが入った少し酸味のあるこだわりのタレ。希望をすればシメに「割スープ」で割って味わうこともできる。
麺は自家製、中太のストレート。茹でた後、冷水で締められた麺はモッチリとした食感に、ツルッツルでのどごしもバツグン。「少しずつつけダレにつけながら食べるのがお薦めです」と店主の高田崇さん(40)はいう。
きれいに盛りつけられた麺を、つけダレにつけて食べるとどんどん箸が進む。タレには角切りにされたレアチャーシューもゴロゴロ入っており、ボリューム満点。
「ジャンクそばの麺は温かいままでモチモチして風味が良く、中華そばの麺は少し細め」(高田さん)だそうで、食べ比べるのもお薦めです。 (朋)
【住所】川西町結崎674-6酒井ビル102
【連絡先】☎0745・43・9518
【ホームページ】https://twitter.com/men_eightyeight
【営業時間】午前11時~午後2時半(ラストオーダー)。火曜日と金曜日は午後6時半~午後9時半(ラストオーダー)も営業
【定休日】月曜日と木曜日
【メニュー】特製つけそば(950円)、つけそば(750円)、特製中華そば(850円)、中華そば(650円)、ジャンクそば(700円)など
大和橘、ブランド化で観光資源に 推進協発足5年、期待高まる

大きく実った大和橘を収穫する学生
日本固有のかんきつ類の一種で、奈良にゆかりの深い「大和橘(やまとたちばな)」。この品種を奈良県のブランド品にして地域活性化を図ろうと、大和郡山市商工会の有志らが5年前に立ち上げた「なら橘プロジェクト推進協議会」主催の「収穫祭」が昨年に続き同市内で開かれ、栽培する農家や市民ら約80人が参加した。
大和橘は古くから太平洋岸の温暖な地域に自生するが、現在は環境省の絶滅危惧種に指定されている希少品種。県内では奈良時代に平城京と橘寺(明日香村)を結んだ古道が「橘街道」の名称で残るほか、万葉集には、橘に関する歌が69首詠まれているなど、奈良とゆかりが深いという。
プロジェクトでは3年前から「橘街道」の再生を目指して活動。現在、沿道に約2500本を植樹している。収穫した実を飴やお茶に加工し、試験的に商品化するなど、産業化も視野に入れているという。
1日は、大和郡山市内の街道沿いで収穫祭を開催。プロジェクトに協賛する会員や農家、大学生らが、直径3~4㌢の黄色い実を一つ一つ丁寧に取りながら、収穫を楽しんだ。大和橘の効能を研究しているという近畿大農学部4年、岡田啓史さん(22)は、「香りがよくでこぼこした見た目がかわいらしい」と笑顔を見せていた。
プロジェクト代表の城健治さん(68)は、「3年前に植えた苗が大きいもので2㍍を超えるまでに成長している。1万本の植樹を目指し今後も活動を続けていきたい」と話した。
収穫は今月いっぱい続くという。
■葉の香り、血流量増加や保湿作用の効果期待
手のひらに載るサイズで、甘くさわやかな香りを放つ大和橘。酸味が強いため生食には向かないが、ジャムなどに加工されている。また、香りのよさから果皮を香料とした「匂い袋」としても利用されるなど、用途は多岐に渡る。
橘の香りを研究する近畿大農学部の富研一助教は、大和橘の葉の香りの効能について、「血流量の増加や保湿作用の効果が期待できる」とする。
富助教らが行った実験では、葉から取り出した精油のにおいをマウスにかがせると、血管が広がって血流量が増え、皮膚の水分含有量が増える―という生理機能の変化が確認できたという。
富助教は1日の収穫祭後に開かれた講演会で研究成果を紹介し、「大和橘は食用以外にも多くの用途が期待できる。産官学が協力して研究が進めば、重要な観光資源になる」と話した。
「赤ちゃんが大事だから仕事辞めるよね…」 奈良労働局がマタハラ防止、啓発強化
妊娠や出産を理由に嫌がらせを受けるマタニティーハラスメント(マタハラ)を防ぐため、新たに企業の事業主にマタハラ防止措置を義務づける改正男女雇用機会均等法と改正育児・介護休業法が、来年1月から施行される。奈良県内でも周知を図り、女性が働きやすい職場環境を目指そうと、奈良労働局は啓発活動に力を入れている。
「おなかの赤ちゃんが大事だから、仕事は辞めるよね」。奈良労働局には、会社の同僚に妊娠を告げた際、そんな風に言われて傷ついたといった相談が寄せられている。
奈良労働局によると、平成27年度の相談件数は40件で、近年増加傾向にあるという。妊娠した契約社員の女性が上司に「次の契約更新はないな」と言われたり、つわりがひどくて休業したときに「入院していないなら復帰できないのか」と責められたりした、といった相談もあった。
現行法は事業主によるマタハラを禁じているが、加害者は必ずしも事業主ではない。独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が昨年9~10月に25~44歳の女性約9600人を対象に行った調査では、妊娠・出産した女性の21・4%が「マタハラを経験した」と回答した。マタハラを受けた相手は「直属の上司」が29・9%で最多だった。「職場の同僚・部下」も14・9%に上った。
こうした実情を受け、来年1月施行の改正法では新たに、上司や同僚からのマタハラについて、事業主に防止措置を義務づける。
■奈良労働局が説明会開催、個別相談も
法改正に合わせ、奈良労働局は12月19日と来年1月11日、いずれも午後1時半から、奈良市の同局で法改正に関する説明会を開く。説明会後は個別相談にも応じるといい、同局の担当者は「マタハラに対する企業の意識改革はもちろん、働く側も法律や制度をよく知ることが、働きやすい職場作りにつながる」と参加を呼びかけている。
先着30人。応募締め切りは12月の回が9日、1月の回が1月4日。応募や問い合わせは奈良労働局雇用環境・均等室(☎0742・32・0210)。
櫻井よしこさんが22日、やまと郡山城ホールで講演

ジャーナリストの櫻井よしこさん
ジャーナリストの櫻井よしこさんによる講演会が22日午後2時から、奈良県大和郡山市のやまと郡山城ホール大ホールで開催される。
「美しい日本の憲法をつくる県民の会」が主催。櫻井さんは「憲法改正で、日本をとりもどす‼」をテーマに、憲法改正の必要性について講演する。
入場料は前売り2千円、当日2500円。チケットは同ホールのほか、橿原神宮(橿原市)、県護国神社(奈良市)、石上神宮(天理市)で購入できる。
問い合わせは、奈良県神社庁の中川さん(☎0744・22・4731)。
【鹿角抄(コラム)】明日香村に星野リゾート進出 奈良全体の観光にも影響
明日香村に高級旅館やリゾートホテルを運営する星野リゾートが進出し、順調にいけば数年後、近鉄飛鳥駅近くに「高級ホテル」が誕生する。村役場で行われた記者会見には星野佳路(よしはる)代表(56)が自ら出席し、飛鳥にホテルを建てる思いを熱く語った。
星野代表は「村が持つ観光資源のポテンシャルは非常に高く、これだけ歴史的資産が集積するのは世界的に珍しい。明日香まるごと博物館構想に宿泊施設は不可欠で、われわれが貢献していきたい」と力説した。
全国に展開する星野リゾートの中で、今回の進出とよく似たケースとしてあげたのが沖縄・竹富島。赤瓦の家の集落が国の重要伝統的建造物群保存地区になっている島に、島の建築様式を守りながらホテルを建設したという。
「竹富島の場合は最初の構想から7年かかった。いろいろ議論はあったが、私たちが開業したことで、宿泊客の増加や他の宿泊施設への波及効果、島の方々の就労の機会を増やすことにつながり、少しずつ成果が出て、島の中で評価をいただいている」としたうえで、「日本の始まりという村のコンセプトが、私たちのリゾートのコンセプトにもなる。周辺景観に配慮した施設にすることがホテルの魅力、競争力につながる。お互い相乗効果を高め、日本の古都として、世界の方々が期待するホテルにしたい」と語った。
数々のホテル・リゾートの再生にかかわってきた星野代表。頭の中には施設のイメージができつつあるようで、「付加価値を高めて、お客さまに来てもらい、地域全体の底上げをはかっていきたい」。
明日香村には年間約80万人が訪れるが、多くは村には泊まらず、日帰り観光だ。だが、星野リゾートでは3泊、4泊してもらうことも想定。「泊まっていただく工夫をする。これはわれわれが最も得意とする分野だ」と話す。
星野リゾートの進出が大きなインパクトを与えることは間違いなく、どんなホテルになるのか、今からわくわくしている。外資系でなく、飛鳥の良さをより理解してくれそうな日本の会社という点でも歓迎だ。奈良県全体の観光にも影響を与えそうで、これをきっかけに他のホテルが進出してくれることも期待している。 (野崎貴宮)
【やまと人巡り】鹿まんじゅう〈かのこ〉発売 菊一文珠四郎包永の柳澤育代社長

春日鹿まんじゅう〈かのこ〉を手にする菊一文珠四郎包永社長の柳澤育代さん
「固定観念にとらわれない、『こだわらない経営者』でありたいと思っています」。鎌倉時代から刀鍛冶の伝統を受け継ぐ刃物店「菊一文珠四郎包永」(奈良市雑司町)社長の柳澤育代さん(49)はきっぱりという。
刃物の伝統技法を世界に発信するため、米ニューヨークで和包丁販売に乗り出すなど、創業約750年の老舗刃物店に新しい風を送り込んできた。今年9月には「奈良に新名物を」と菓子部門「菓子司 柳松庵」を立ち上げた。「とにかくお客さまに喜んでもらえるものを作りたい」
昭和42年、菊一文珠四郎包永の一人娘として生まれた。実家で留学生の受け入れを頻繁にしていたことから、幼い頃から海外に行きたいと強く望んでいた。その一方で、「店を継がなければならないという自分の立場を考えると、海外で暮らすことはできない」とあきらめもあった。だが、転機が訪れた。平成5年、大学院修了後、結婚を機に渡米することになった。「両親からは賛成もしないが反対もしないといわれた」と笑う。それ以降20年間、米国で過ごすこととなった。
米国では旅行会社での予約受付や、現地小学校の教師などさまざまなことを経験した。それでも、「自分は包丁屋の娘。伝統を米国でもアピールしたい」という思いに至った。そして、9年に米国で菊一文珠四郎包永の法人を設立。「米国から日本や奈良をみることで、新しいことをする概念や自分に対する自信が生まれた」と当時を振り返る。
26年には会社を本格的に継ぐために帰国し、社長に就任した。「当初は昔の風習のまま、今の世の中で商売をしているような感じがした。黒字体質に何とか変えたいと強く思った」
そんな中で行き着いたのが菓子部門の設置だった。
「『包丁屋なのに、お菓子なんて作って』という人もいるかもしれない。でも、奈良の観光業に一役買いたかった」。菓子部門設置後、初めての自社製造商品が春日鹿まんじゅう〈かのこ〉。これまで、「神の使いの鹿を食べるのは不敬ではないか」と鹿をかたどった食べ物はあまりなかった。が、春日大社の花山院弘匡宮司と話し、不敬にあたらないとわかり、「おもしろい奈良の土産を」と開発に取りかかった。〈かのこ〉は角のある雄鹿と、角のない雌鹿の2種類。中にはミルク味の白餡が入っている。「いずれは京都の八つ橋や伊勢の赤福に並ぶお土産になってくれれば」と期待する。発売2カ月半だが約8万個を売り上げ、上々の滑り出しだという。
「これからも奈良の活性化につながる魅力ある提案をしていきたい」。その目はキラキラと輝いていた。 (明)
【バンビシャス通信】和太鼓のエネルギーを力に 年内最後はクリスマスゲーム

ハーフタイムにパフォーマンスを披露する和太鼓グループ「倭」
バンビシャスは11月26、27の両日、今季唯一の橿原開催となるホームゲームを実施しました。そして、奈良県明日香村を拠点として世界32カ国3000回以上の公演を開催し、約600万人を動員した世界を駆け巡る和太鼓グループ「倭」とのスペシャルコラボゲームでもありました。
倭は共同生活で一体感を養い、作曲、振りつけ、演奏方法や衣装デザイン、舞台セットまでの一切を手作りでやっています。また、毎朝10㌔の走り込み、同じ釜の飯を食べ、夜10時まで太鼓の練習をします。アスリートと同じく強靭な筋肉を持ち、魂のこもった一打を打ち鳴らすために365日トレーニングに励んでいます。
先月9日にはバンビシャスの選手とヘッドコーチが明日香村にある魂源堂太鼓道場で太鼓のワークショップを体験しました。
ホームゲーム1日目の26日は倭と魂源堂太鼓道場(倭の道場生)のパフォーマンス、2日目は倭がパフォーマンスを披露しました。倭の圧巻のパフォーマンスに会場からは大きな歓声があがっていました。
試合は中地区首位のFE名古屋に対し、第1Q(クオーター)は両日ともにリードするも逆転を許し、216㌢の元NBA出身の選手を中心に堅実なバスケットを展開する名古屋の前に連敗となりました。
倭から頂いたエネルギーを力にシーズン中盤、勝ち星を増やせるように戦います。今後、アウェーのゲームを挟み、年内最後のホームゲームをクリスマスゲームとして開催します。 (バンビシャス広報 和田真智子)
【試合結果】
バンビシャス82-99Fイーグルス名古屋(11月26日)
バンビシャス79-95Fイーグルス名古屋(11月27日)
【ホーム試合予定】
群馬クレインサンダーズ戦=17日(土)午後6時、18日(日)午後2時▽ならでんアリーナ(奈良市中央体育館)
飲酒運転しない、させない、許さない! 安協橿原支部協会耳成分会が啓発活動

飲酒運転撲滅を呼びかける耳成分会のメンバー
奈良県交通安全協会橿原支部協会耳成分会(橿原市)のメンバー約30人が1日、市内の葛本交差点で、「飲酒運転禁止」と書かれた手作りの小旗や「飲酒運転しない、させない、許さない」と記されたのぼりを持ち、ドライバーに飲酒運転撲滅を呼びかけた。
年末・年始の忘年会や新年会で酒を飲む機会が多くなることから、飲酒運転防止のために橿原署と合同で実施した。
葛本交差点は国道24号と中和幹線が交わる県内でも交通量が多い交差点で、メンバーらは午前7時半から1時間、交差点で小旗をドライバーに見せるなどして啓発活動を行った。
県レッカー事業協同組合理事を務める耳成分会の前野正三会長(81)は、「仕事をしていると、どうしてこんなところで事故が起きるんだというケースもある。酒を飲んで運転し、免停になって困るのはドライバー自身。飲酒運転は絶対にやめてほしい」と話していた。
分会では今月15日にも啓発活動を行うという。
【愛和会不正事件】県が社会福祉法人を特別監査
奈良県田原本町の社会福祉法人「愛和会」が偽の領収書を提出したとして同法人の元理事長らが逮捕された事件を受け、県が社会福祉法に基づく特別監査を行ったことが1日、関係者への取材で分かった。
同法は、不祥事を起こした社会福祉法人に対し、監督する行政機関が財産状況や帳簿、書類などを立ち入り検査すると定めている。監査の結果、法令違反などが判明すれば、行政機関が改善措置を勧告する。
事件では、法人の元理事長、森和俊容疑者(69)らが、町から委託された平成27年度の地域子育て支援拠点事業で偽の領収書を提出したとして、有印私文書偽造・同行使容疑で11月20日に県警に逮捕された。
県によると、この事業の総事業費は約800万円で、国、県、田原本町が各3分の1(約265万円)を負担。国と県はそれぞれ町に補助金として交付し、町が事業の実施主体として、法人に事業を委託していた。
■森町長「信頼回復に努める」 第三者委、年内発足へ

町議会の冒頭で「愛和会」事件について述べる森章浩町長
田原本町の森章浩町長は1日、開会した12月定例町議会の冒頭で社会福祉法人「愛和会」による領収書偽造事件について言及し、「深くおわび申し上げる。なぜこのようなことが起きたのかしっかりと調査し、透明性と公平性を持って町政を運営し、信頼回復に努める」と述べた。
事件で逮捕された法人元理事長、森和俊容疑者は、森町長の実父。町によると、町は事件の経緯などを調査するため、第三者委員会を設置する条例案を議会の最終日(8日)に提案。年内にも第三者委を発足させたい考えだ。
第三者委は公募を含む学識経験者など約5人で構成され、愛和会を含めた外部団体への公金支出の内容や適性を調査する予定。
「鹿ちゃんカメラ」稼働開始! 事故状況の分析に一役

「鹿ちゃんカメラ」が設置された自動販売機
奈良公園(奈良市)一帯に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」を守ろうと、近鉄奈良駅近くにカメラが付いた自動販売機が設置され、11月30日から稼働を始めた。その名も「鹿ちゃんカメラ」。シカと車の交通事故などがあった際には、カメラが記録した映像データが保護団体「奈良の鹿愛護会」に提供される仕組みで、事故状況の分析に役立てるという。
自販機は交通量の多い国道369号(大宮通り)沿いにあり、鹿ちゃんカメラは自販機の上部、高さ約2㍍の位置に設置されている。前方180度撮影可能で、夜間でも赤外線照射により20~30㍍先まで撮影できるという。撮影した映像は自動販売機管理会社「奈良ベンダー」(橿原市)が管理。交通事故などシカが関係するトラブルが発生すれば、愛護会に映像が提供され、原因究明に活用する。
発案したのは、愛護会の大川靖則会長。同会によると、今年7月までの1年間で、シカが被害に遭った交通事故は131件あり、81頭が死亡した。鹿ちゃんカメラが設置されたのは、県内で2番目に事故が多かった場所で、20件発生し、10頭が命を落としたという。
カメラ付き自販機の設置は、この場所を管理する不動産会社「大東興産」(奈良市)の協力で実現した。自販機の売り上げの一部は、大東興産と奈良ベンダーから、愛護会に寄付される。同会の担当者は「協力してもらえる人がいれば、カメラの設置場所を増やしたい。シカを守る一助になれば」と話している。
東大寺周辺にも宿泊施設 12月1日から規制緩和

規制緩和の対象となる東大寺周辺は観光客も多いが空き家も散見される
外国人を中心とする観光客が急増していることを受け、奈良市は12月から東大寺周辺などで、これまで認めてこなかった宿泊施設の新設を許可する規制緩和を行う。奈良では観光客数に対し、宿泊施設が不足していることが観光振興の足かせになっており、市は「景観保護」の名の下に制限してきた人気観光スポット周辺の活用に踏み切った形だ。
奈良市開発指導課によると、規制緩和の対象地域は、近鉄奈良駅近くの東大寺、興福寺、新薬師寺のほか、近鉄西ノ京駅近くの薬師寺、唐招提寺の計5カ寺周辺。
新設の基準は、延べ面積500平方㍍以内で、2階建てまでの比較的小規模な施設。旅館業法の許可があれば開設を認める。10年以上使われている既存の建物を改装する場合は、基準以上でも増築しなければ許可する方針だという。
対象地域は都市計画法によって市街化が抑制される「市街化調整区域」。これまで市は、一部地域に限って飲食店や土産物屋の設置を許可してきたが、宿泊施設については景観上の配慮から認めてこなかった。だが、建物の持ち主が高齢になって廃業したり、空き家になったりするケースが増え、現在では既存建物や町並みの風化が逆に問題となっている。
奈良市の観光客数は昨年約1500万人を記録し、4年連続で増加した。特に外国人の宿泊客は昨年約22万7千人と、前年から倍増している。一方で、奈良は宿泊施設が全国的にも極めて少ないことで知られ、観光客を積極的に宿泊に結び付けられていないことが課題となっている。
今回規制緩和される地域については、すでに宿泊業界関係者から問い合わせがあるといい、開発指導課は「景観を保護しつつ、観光活性化につなげたい」と話している。
エイズを広めるな! 「国際ソロプチミスト奈良」の会員が啓発活動

エイズの蔓延防止を図るために啓発活動をする国際ソロプチミスト奈良のメンバー(左)
エイズについて正しい知識を広め、蔓延防止を図ろうと、女性で作る社会奉仕団体「国際ソロプチミスト奈良」は30日、奈良県下3カ所で啓発活動を行った。
世界保健機関(WHO)が12月1日を「世界エイズデー」と定めたことに合わせて実施した。県下6クラブに所属する会員約30人が近鉄奈良駅や、近鉄大和八木駅などでHIV検査を促すチラシが入ったポケットティッシュや、啓発冊子を通行人に配布した。
「国際ソロプチミスト奈良―平城」の北浦萬理子会長(79)は、「エイズを知ることで、蔓延防止にもつながる。今後も啓発活動を続けたい」と話していた。
【あっ、これ食べたい!】スパイス香る 3種類の日替わりカレー 「カリー処プラーナ」
奈良市あやめ池南の近鉄菖蒲池駅南側出口からすぐの場所に「カリー処プラーナ」はある。吉野杉や吉野桧を使った温もりある店内は、平成25年に行われた「奈良の木のお店・宿デザインコンペ」で優秀賞を獲得している。
日替わりカレー3種が味わえる「プラーナセット」が人気で、単品にはない種類のカレーが登場することもある。
取材日のカレーは一番大きな器から、濃厚で海老出汁の効いた「バタープローンカリー(海老のバターカレー)」、プラーナのカレーメニューの原点と言われる「チキンフレッシュカリー」、インド豆がたっぷり入った辛さ控えめの「ダールベジタブルカリー(豆のカレー)」だった。
「それぞれ味わうだけでなく、3種類のカレーを混ぜるのもお薦めです」と店主の泉尾毅志さん(37)はいう。
カレーの種類によって、玉ねぎの切り方から炒める時間、スパイスや野菜の配合まで変えるので、仕込みにはとても時間がかかる。
「少しのことで味が変わってしまう。カレーは日々追求で終わりがありません」と泉尾さんはいう。
注文が入ってから仕上げるので混雑時は少し時間がかかることもある。でも、最後にオリジナルのガラムマサラ(ミックススパイス)を振ってガス火を強めると、カレーの香りが店内に「ぶわぁ~」と漂う。美味の予感が口中に広がる。
手間暇かけたこだわりカレー。心も体もポカポカ温まりお薦めです。 (朋)
【住所】奈良市あやめ池南2-1-48
【連絡先】☎0742・43・3216
【営業時間】午前11時半~午後3時(ラストオーダー午後2時)、午後6時~午後10時(ラストオーダー午後9時)。売切れ次第閉店。
【定休日】月曜日と第2火曜日
【メニュー】プラーナセット(1620円)、バタープローンカリー(1180円)、チキンフレッシュカリー(970円)、ダールベジタブルカリー(970円)、プローンマサラ(1080円)、ラムビンダルー(970円)、お子様カリー(700円)、マンゴーラッシー(400円)、ガラムマサラアイス(400円)など。
【特典】「あっ、これ食べたい!」の紙面の切り抜きを持参し、カレーメニューを注文するとソフトドリンクを1杯プレゼント。12月30日まで。

辛さ控えめの「ダールベジタブルカリー」


































